雇用維持へのアドバイス/加藤労務コンサルティング 代表 加藤 之敬
本稿の執筆依頼をいただいた2020年1月時点で、新型コロナウイルスが発生してパンデミックを起こし、世界経済がこのような苦境に立たされているということを誰が想像できただろうか。中国の武漢で発生したこの伝染病は、瞬く間に世界に拡散し、現在、日本経済も深刻な状態に陥っている。
私たちの顧問先の中でも、業種により大小あるが、様ざまな被害に対する相談が、日を増すごとに増えている。
こうしたなか、国からは各種緊急対応が連日発表され、とくに社労士の業務でもある雇用調整助成金やテレワーク導入による人事労務管理の見直しなど、まさに国難ともいえるこの環境を脱却するための施策が、数多く出されている。
こうした状況下であるからこそ、専門家である私たちは率先して、顧問先などにいち早く有益な情報を届けて、企業が存続するためのサポートをしていく必要がある。
まさに「社会保険労務士」という存在意義が問われている時なのだと思う。
平時は、経営者の多くが、カネ→モノ→ヒトという優先順位であり、経営を優先する中でのヒトの専門家である社労士の存在は、税理士や経営コンサルタントなどと比べ重要性が低いといえる。
しかし、こうした有事の際には雇用(ヒト)を守るため、経営者も必死に打開策を考えなくてはならない。私たちが経営者にどのように雇用を守れば良いか、アドバイスできる絶好の機会ともいえる。そして、有事の時だからこそ、簡単に雇用が切り捨てられることがあってはならない。
私たちは、国家資格者として、時には心を鬼にして雇用を守るアドバイスをする必要もある。
中小企業の「働き方改革推進」は、資金的な問題もありまだまだ遅れている。
しかし、こうした状況であるからこそ、今まで私たちがアドバイスしてきた事務処理のアウトソーシング化やRPAの導入や推進、高齢者・女性の雇用促進やテレワーク制度、短時間労働者制度普及など、様ざまな雇用形態で働ける環境整備等を進めるための数少ない機会でもある。
日本に適正な企業を増やしていくことが、私たちの大きな使命であり、また、こうした有事に、経営者にアドバイスができるのは、専門家である私たちしかいないと思うからである。
そしてそれは、顔も性格も良く知らない、企業の「誰か」の人生を守ることにもつながる。この流行が早く収束し、被害者の方が1日でも早く回復し、再び世界と日本経済が復調することを願うばかりである。
加藤労務コンサルティング 代表 加藤 之敬【群馬】
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