【今週の労務書】『「職場のハラスメント」早わかり』
2020.05.02
【書評】
周囲のパワハラも調査を
6月から施行される「パワハラ防止法」の入門書として、一般社員への説明も視野に入れて平易かつコンパクトにまとめている。3要件をあえて5つに分けて解説するほか、6つの類型については行動例を挙げてセーフ/アウトの判断基準を探っている。
肝心の防止対策では、社内アンケートが非常に効果的とし、「周囲でパワハラやセクハラまがいの事案が起きていないか?」も尋ねることを推奨した。被害者本人がいい出せない場合があるほか、当人同士が平気でも周囲が不快感を覚えれば、パワハラとされる可能性があると指摘している。指針が求める相談窓口に関しては、設置直後に予想以上の相談が寄せられ、混乱するケースがよくみられるという。数を減らそうと焦れば、かえってパワハラ隠しにつながりかねないと注意を喚起している。
(布施直春著、PHP研究所刊、TEL:03-3520-9630、850円+税)
令和2年5月11日第3256号16面 掲載