【労働法超入門】医師面接の強化
働き方改革関連法による労基法改正とリンクする形で、安衛法も変わりました。施行も同じ平成31年4月1日です。
労基法では、長時間労働の抑制措置が講じられました。一方、安衛法では「長時間労働発生時の医師による面接制度」の強化・再編が実施されています。従来、面接指導の要件は、次の3つとされていました。
① 月の残業が100時間を超えた
② 疲労の蓄積が認められる
③ 本人から申出があった
平成31年4月改正では、労働者を3種類のグループに分け、それぞれに基準を定めています。
第1は、一般の労働者グループです。①の時間外上限が100時間から80時間に引き下げられましたが、②③の要件はそのままです。
第2は、新商品開発従事者のグループですが、法改正後もこのグループに限っては時間外上限規制が「適用除外」とされています。このため、一般より厳しい基準を適用するものです。
月の残業が100時間を超えたら、②③の要件は考慮せず、自動的に医師による面接の対象となります。
なお、月80時間を超えた時点で②③を満たしている場合も、面接指導が必要な点には留意が求められます。
第3は、高度プロフェッショナル制度のグループです。こちらは、「健康管理時間(前回その内容をご紹介)」が100時間を超えたら、面接指導が必要になります。
この面接指導を的確に実施するために、新たに安衛法の本則上に労働時間の把握義務が明記されました。管理職やみなし労働時間の適用者も対象に含まれます(高プロは健康管理時間を把握)。
事業者は、原則としてタイムカード等の客観的な記録に基づき労働時間を把握します。残業時間が80時間を超えたときは、産業医だけでなく、労働者本人にもその情報を伝えなければいけません。