【労働法超入門】勤務間インターバル
働き方改革関連法の制定過程で、人口に膾炙(かいしゃ)するようになった単語は少なくありません。「勤務間インターバル」も、そのひとつといえます。
勤務間インターバルとは、「残業等により帰宅が遅くなった場合、翌日の始業時刻をスライドさせ(遅らせ)、必要な睡眠時間等の生活時間(休息時間)を確保する」仕組みをいいます。たとえば、休息時間10時間の勤務間インターバル制度を導入している会社では、真夜中(午後12時)まで働いた人の翌日の始業時刻は、午前10時以降となります。
毎日、睡眠を削って仕事をしている人にとって耳寄りなニュースのように思えますが、残念ながら同制度の導入は「強制義務」ではありません。改正労働時間等設定改善法では、勤務間インターバル制度の整備は事業主が講じるように「努めるべき措置」の一つという位置づけです。
このほか、「短納期発注」等の業界慣行が長時間労働等の発生原因として指摘されていることから、「著しく短い期限の設定および発注の内容の頻繁な変更を行わないこと」という条文も追加されました。ただし、こちらも「努力義務」にとどまっています。
労働時間等設定改善法は、事業主に対して「委員会を設置して必要な対策を検討する」よう求めています(努力義務)。
法律所定の基準を満たす労働時間等設定改善委員会を設置した場合、委員会の決議をもって各種の労使協定(時間外・休日労働(36)協定、変形労働時間制の協定など)の締結に代えることができることができるという特例が設けられています。
従来、その対象は事業場単位の委員会に限定されていました。
しかし、平成31年4月改正後は、企業単位の委員会にも特例が適用されます(対象となる労使協定の範囲は事業場単位より狭い)。
また、衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなす規定は廃止されています(経過措置付き)。