【労働法超入門】均等・均衡ルール
世間的には「同一労働同一賃金」という用語が広く使われていますが、「均衡・均等待遇ルール」という表現の方がより正確なイメージを反映しています。
改正パート・有期雇用労働法では、基本的な考え方として、パート・有期雇用労働者と正社員の待遇に格差がある場合、次の3点を考慮して、不合理の有無を判断するとしています(均衡ルール)。
① 職務の内容(業務の内容と責任の程度)
② 人材活用の仕組み(職務の内容と配置の変更の範囲)
③ その他の事情
「同一賃金」というと、正規・非正規間で差があると、すべてダメという印象がありますが、そうではなく、上記①~③の事情を考慮して、合理的な格差なら許されるという意味です。
不合理の有無については、「基本給、賞与」など個々の待遇ごとに判断します。より具体的な考え方は、「不合理な待遇の禁止等に関する指針」が告示されていて、その中に具体例が多数記載されています。
厚労省では、格差解消のための「マニュアル」等も公表し、理解の促進に努めています。たとえば、通勤手当については「通勤にかかった費用の補填が目的」で、職務の内容・人材活用の仕組み等と関係ありません。
ですから、原則的には、正規・非正規間で差を設けることはできません。しかし、フル勤務者(パート等を含む)は定期額相当を支給、短日数勤務者は出社日数に応じて支給といった仕組みを設けることは、合理的と考えられます。
なお、パート・有期雇用労働者のうち、「正社員と同視すべき者」については、均衡ルールではなく、均等ルールが適用されます。「同視すべき者」とは、職務の内容と人材活用の仕組みの双方が正社員と同じパート・有期雇用労働者を指します。この定義に該当する非正規社員の場合は、すべての待遇について「差別的取扱い」が禁止されています。