【労働法超入門】賃金・福利厚生の均衡
パート・有期雇用労働法では、均等・均衡ルールの大原則を明確化したほか、賃金・福利厚生等に関する細則も整備しました。
まず、賃金については、「職務関連賃金(職務に密接に関連して支払われるもの)」について、「職務の内容・成果、意欲、能力、経験」等に応じて決定するよう求めています(必要に応じて昇給させる等)。
それ以外の「通勤手当、家族手当、住宅手当」等に関しては、「職務内容・成果等の向上に合わせて昇給させる必要はありませんが、正社員との均等・均衡待遇に留意する必要があります(「ガイドライン」に沿って判断)。なお、今回改正で、退職手当は職務関連賃金に含むという扱いに変わっています。
次に、福利厚生ですが、従来、給食施設、休憩室、更衣室の3種は「健康の保持または業務の円滑な遂行に資するもの」として、正社員との均衡に配慮するよう求められていました(配慮義務)。しかし、今回改正では、配慮義務から強制義務に1ランクアップしています。
法律の名称がパート労働法からパート・有期雇用労働法に変更されたのに合わせ、従来、パートのみが対象だった規定に関し、有期雇用労働者も適用範囲に加える改正も実施されています。
新たに事業主が責任を負う事項は次のとおりです。
① 特定事項の明示
② 就業規則作成・改定時の意見聴取
③ 教育訓練
④ 正社員への転換制度整備等
⑤ 相談窓口の設置
⑥ 雇用管理者の選任
①の特定事項とは、「昇給・退職手当・賞与の有無、相談窓口」の4事項を指します。実務的には、労働条件通知書に上記事項も追加で記載する方法が採られています。改正後は、有期雇用労働者の採用時にも、同様の対応が必要になります。②就業規則の改定(有期雇用労働者に関連する事項)時にも、有期雇用労働者の過半数代表の意見を聴取する努力義務が課されます。