【助言・指導 あっせん好事例集】残業過多を理由に無断欠勤続く 懲戒解雇で退職金不支給に
長時間労働で疲労困ぱいの従業員が、残業時間の短縮を願い出ました。ところが、直属上司(班長)が取り合おうとしないため、口論に発展しました。
怒り心頭の従業員は、それから20日間、無断欠勤を続けた結果、会社から懲戒解雇されてしまいました(退職金も全額不支給)。
当事者の主張
従業員
トラブル発生前、1カ月の残業時間は70時間、夜勤6回という状況でした。残業の短縮を求めたのは、疲労の蓄積と風邪により体調を崩していたからです。
それなのに、会社側は「業務上の都合ばかり」優先させて、従業員の健康など考慮しようとしません。
会社が厳しい処分を検討していることは妻から聞いて知っていましたが、常々から会社の対応に不満があったため、「大人げない」態度を取ってしまいました。
しかし、15年間まじめに働いた挙句、退職金なしという処分には納得がいきません。
事業主
欠勤開始後、10回も連絡し、出勤を促しました。病気と主張するので、「病院の診断書を提出し、年休の手続きを取る」よう勧めたのですが、何ら回答を得られませんでした。
会社の秩序維持の観点から、これ以上、問題の先延ばしはできないと判断し、役員会で懲戒処分等を決定しました。
都道府県労働局による助言・指導の内容
無断欠勤による懲戒処分はやむを得ないとして、問題の発端は会社の「残業管理・健康管理の不適切さ」にあります。トラブル発生に至るまで、長期間、適切に仕事をこなしていた点を考慮すると、退職金の全額不支給は処分として厳しすぎるおそれがあるので、再考を求めます。
結果
事業主が処分を再検討した結果、退職金の半分を支払うことになりました。