「働き方改革」のキーパーソン/キタバ社会保険労務士事務所 北場 好美
今後、日本は急激な人口減に直面する。とくに生産年齢人口の減少は著しく、アベノミクスで「働き方改革」が叫ばれているのも、ワーク・ライフ・バランスが強調されているのもそのためである。「働き方改革実現会議」では、安倍首相自らが危機感をもって議論をリードしようとしている。そして、ここにコミットするのは、まぎれもなく社労士である。社労士の活躍が今ほど必要とされる時代はないと思う。
とくに私が課題だと考えているのは、ワーク・ライフ・バランス、なかでも「仕事と介護の両立」である。安倍首相は、新三本の矢のひとつに「安心につながる社会保障」を挙げ、「介護離職をゼロに」と述べている。現状では、年間約10万人が介護の問題で離職を余儀なくされている。私(54歳)自身も両親の介護に直面しているだけに、切実な状況はよく分かる。
しかも、介護事業所自体の離職率が高く、関係者からは「まず介護事業所の離職をゼロに」という声も聞かれるほどだ。
これから、団塊世代が後期高齢者になっていくと、状況がますます厳しくなることは必至である。
今まで制度はあってもほとんど利用されていない「介護休業」だが、来年1月1日から、改正「育児介護休業法」が施行され、分割取得が可能になるなど、利用しやすくなる。就業規則の改正も必要になるが、絵に描いた餅では意味がない。まずは情報提供と相談態勢が必要である。
私が企業経営者様にお勧めしているのが、「40歳の介護研修」である。多くの会社で、様ざまな研修の機会を作っておられると思うが、その一環で、介護研修を行うのである。
「40歳」が最も良いのは、自身も介護保険の被保険者になるとともに、親が退職する時期になり、介護問題もリアルになる、しかも会社におけるキャリアも円熟期に入るからである。
私は今、奈良県内の事業所とともに「40歳の介護研修プロジェクト」を進めている。社労士こそ「働き方改革」のキーパーソンだという自負をもって、社会的使命を果たすため、頑張りたいと思う。
働き方改革については、政府の専用サイト(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata)を参考にしてほしい。
キタバ社会保険労務士事務所 北場 好美【奈良】
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