【労働法超入門】説明義務の強化
派遣労働者についても、パート・有期雇用労働者と同様に、「説明義務の強化」が図られています。格差を是正する前提として、自分自身の待遇について正しく知る必要があるからです。
派遣労働者の場合、人材ビジネス会社に「登録」してから、実際に派遣されるまで手続きが複雑です。
派遣法では、ステップ別に次のような義務を課しています。
① 登録時等
賃金額の見込み、派遣元会社・派遣法の概要、均衡待遇確保のために配慮した内容を説明します。
② 雇い入れる時
まず、労基法に基づき、労働条件通知書を交付しますが、それに合わせて「昇給・退職手当・賞与の有無、協定対象労働者であるか否か、苦情の相談窓口」についても書面明示します。
協定対象労働者とは、同一労働同一賃金を確保する際に「労使協定方式」の適用を受ける労働者という意味です。
さらに、均等・均衡確保のために、どのような措置を講じているかも説明します(口頭が基本で、書面も活用)。
③ 派遣する時
従来からある措置として、就労条件明示書を交付しますが、それに合わせて一定事項(賃金の決定、休暇、昇給・退職手当・賞与の有無、協定対象労働者であるか否か)の書面明示も必要となりました。均等・均衡確保のために講じられる措置も再確認します。なお、雇入れと派遣開始が同時(登録型派遣等)のときは②と③をまとめて実施します。
このほか、派遣労働者から求めがあれば、待遇の相違の内容・理由についても説明する義務が課されています。ただし、協定対象労働者の場合、協定で定めた事項等を説明すれば足ります。派遣元は、説明を求めたことを理由として不利益取扱いをしてはならないとされています。