【労働法超入門】派遣先・元の義務
派遣法は、パート・有期雇用労働法とリンクする形で改正されました。基本的には、就労形態に違いがあっても、非正規労働者(派遣労働者、パート、有期雇用労働者)同士の間で、できるだけ待遇上の差異が生じないように工夫が凝らされています。
賃金関連以外では、次のような変更点があります。
① 教育訓練の実施
派遣先は、派遣元の求めに応じ、派遣先の直用労働者を対象とする教育訓練を、派遣労働者にも実施する等の措置を講じる義務を負います(配慮義務→強制義務)
② 福利厚生施設(給食施設、休憩・更衣室)
派遣先は、上記3施設について、派遣労働者にも同様に利用できる機会を与えなければなりません(配慮義務→強制義務)。
③ 福利厚生(給食・休憩・更衣室以外)
上記3施設以外は、与えるよう「配慮する」義務を負います(努力義務→配慮義務)。
④ 派遣元への情報提供
均等・均衡の確保のため、派遣先は、派遣先労働者の待遇に関する情報や、派遣労働者の勤務状況に関する情報(派遣元の考課査定に利用)を提供するよう配慮しなければなりません(努力義務→配慮義務)。
このほか、就業規則の作成手続きに関しても、パート・有期雇用労働法と横並びの改正が実施されています。
労基法上、「全労働者」の過半数代表から意見を聴くことが、就業規則を作成・変更する条件とされています。改正派遣法では、それに加えて、「派遣労働者」の過半数代表者の意見聴取も求めています(努力義務)。
派遣先・元と派遣労働者の間で均等・均衡ルールに関するトラブルが生じたときは、労使間の自主解決を原則としつつ、都道府県労働局長の助言・指導を求め、紛争調整委員会の調停を受けることもできるようになりました。基本的な考え方は、均等法等の紛争解決ルールに準じます。