チェーンソー教育未実施で送検 伐木の下敷きになり労働者死亡 千葉労基署
千葉労働基準監督署は特別教育を受けさせず、労働者にチェーンソー作業を行わせたとして、造園業を営む個人事業主を労働安全衛生第59条(安全教育)違反の疑いで千葉地検に書類送検した。伐倒した木の下敷きになり、73歳の男性労働者が死亡する労働災害が発生している。
労働災害は令和2年3月12日、千葉県市原市内の伐木作業現場で起きた。労働者がチェーンソーで立木を切ったところ、この立木にかかっていた木が頭部に激突した。労働者は救急搬送されたが、同日死亡が確認された。死因は頚椎損傷だった。
労働安全衛生法はチェーンソーを用いた伐木作業に労働者を従事させる場合、特別教育を行わなければならないと定めている。個人事業主は労働者に特別教育を受講させておらず、個人事業主自身も受けたことがなかった。
伐木した立木が他の立木に引っかかった状態である「かかり木」の処理に関するガイドラインは、かかられている立木を伐木してはならず、かかり木が発生した場合には速やかに処理しなければならないと定めている。やむを得ず一時的に放置する場合は、労働者が誤って近付かないよう、標識の掲示などの措置を取らなければならない。
また、労働安全衛生規則はかかり木の処理を行う場合、処理を行う場所の下方に労働者を立ち入らせてはならず、処理作業をする労働者以外を付近に立ち入らせてはならないと定めている。現場では労災が発生する1カ月ほど前にかかり木が生じていたが、重機が入らずに処理が後回しになっていた。
個人事業主はかかり木の周囲に入らず、かかられている木も切らないよう指示していたが、付近への立ち入りを禁止する表示はしていなかった。労働者がなぜ伐木をしたかは不明だが、同労基署は「かかり木があることに気付かずに切った可能性がある」と話している。
労災発生当日、現場では個人事業主と労働者を含め3人が作業に当たっていた。休憩時間になっても労働者のいた方向からチェーンソーの音が鳴り続いていたため、様子を見に行ったところ、木の下敷きになった労働者が発見されたという。
【令和2年6月24日送検】