【今週の労務書】『「超」働き方改革 四次元の「分ける」戦略』
2020.08.29
【書評】
ジョブ型よりも自営型へ
働き方改革が思うように成果を上げない理由を、著者は「組織や集団に個人が溶け込んでいる」からだと指摘する。今必要なのは個人の分化であるとし、本書では仕事や働く場所などの次元から、その方法やもたらされる効果を探っていく。
仕事を個人に分ける方法としては、欧米の「職務型」や「専門職型」を挙げたうえ、アジアにみられる方法として「自営型」を紹介した。たとえば開発から販売までの仕事を丸々任せ、大きな裁量を認めるならば、モチベーションは高まり、働く場所の制約も受けにくいとする。仕事の属人性が強い日本ではむしろ、職務型より馴染みやすい、と普及に期待を寄せている。
働く場所をテーマにした章では、大部屋に仕切りもなく机を並べた職場が、いかに特殊か思い知らされる。従来の“当たり前”を疑う姿勢が、興味深い。
(太田肇著、筑摩書房刊、TEL:03-5687-2601、780円+税)
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令和2年8月31日第3270号16面 掲載