飲食業の「ホワイト化」へ/株式会社ユアコンパス 代表 中武 篤史

2017.01.22 【社労士プラザ】
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 「飲食業はブラックな業界ですよね?」私の名刺には「飲食業専門」と文字を入れているのだが、それをみつけた方によくかけられる言葉である。

 飲食業界は「ペニー(日本円で約1円)ビジネス」と呼ばれ、わずかの利益を積み上げることがビジネス成功の法則とされている。この考え方は当然、労務コストにも向けられており、気が付くと、法に触れる行為をしてしまっているケースは枚挙にいとまがない。

 実際にお問合せいただいた飲食企業に訪問してみると、あまりのひどさに愕然とすることが多いのは事実である。

 とくに、従業員の意欲を異常なまでに掻き立てて、本人の意思で何時間でも労働したくなるように仕向ける手法が横行しているのには閉口する。

 果たして、飲食業というのはブラック経営でしか成り立たないものなのであろうか。

 結論として、私はここで否と申し伝えたい。

 実際に私は、長年関西の飲食企業で執行役員として、営業、人事労務の両面に真っ向から向き合い、コンプライアンスを遵守しながら成果も結果も残してきている。

 多くの企業では、そのやり方を知らないだけなのだ。

 とくに人を大切にして育てていく企業としての姿勢がなく、それを包含する人事制度や規程に関する認識が甘いケースをよくみかける。

 参考までにすぐ分かるものとして、店舗の休憩室や制服、名札、従業員用トイレの清潔さをみれば良い。それだけでもその企業のスタンスは分かる。そんな小さなこと一つに気配りができない企業が、社会に顔向けできる真っ当な利益を作り出すことはできないと考える。

 そんなことも含め、経営者と一緒になって人事制度の根幹部分から地道に是正していき、従業員教育手法として私の提唱する「やわらか指導術」を導入していただいたところ、気が付けば、飲食業顧問先の9社は全社黒字経営を達成した。しかも行政からの指摘もこの1年間ゼロを継続できている。やればできるのである。

 実際にはまだまだやるべきことが顧問先には山積している。しかし、経営者に丁寧に説明し、理解していただくことで、この課題は確実に小さくなってきているのを肌で感じている。

 飲食業は「ホワイト」でも経営できる。その証明をすべく走り続けたい。

株式会社ユアコンパス 代表 中武 篤史【大阪】

【公式Webサイトはこちら】
http://www.yrcp.jp/

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    平成29年1月16日第3096号10面 掲載
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