【安全衛生・お薦めの一冊】『135の判例に学ぶパワーハラスメントの真実』
2020.10.27
【書評】
類型や法的責任を分析
近年、ニュースを騒がせることが目立ってきたパワハラ事件。企業が巨額の賠償を負う判決も少なくなく、法改正も進むなかで対策に頭を悩ませている担当者も多いだろう。
本書は、パワハラの発現から結果に至るまでの全体像について、なんと135に及ぶ裁判例を13類型に分類して、1判例につき1ページ以内で簡潔に要点要旨をまとめたものだ。
パワハラの具体的な態様から、誘因機序(意図・目的)の分析、心身に生じた疾病および法的責任の分析、自殺の誘因機序の分析まで多様なバリエーションと視点を提供している。
例えば、重大ミスを犯した部下に「馬鹿野郎」と叱責して自殺に至った案件があるが、叱責はミスをしたすべての従業員に行われ、理由なしに叱責することはなく、人格否定の発言もなく、パワハラ性が否定されたものある。
巻末の「パワハラ性格傾向」の自己診断で、チェックすることができる。
(中村孝雄著、労働新聞刊、TEL:03-5926-6888、A5判、168ページ、1400円+税)
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2020年11月1日第2365号 掲載