週休3日制の効果/社会保険労務士岩野麻子事務所 代表 岩野 麻子
「働くすべての人々にQOLの向上を」を座右の銘に、2007年に社会保険労務士事務所を開業した。私自身、ヨガインストラクターとの兼業からスタートしたこともあり、社員の自立した生き方を応援したい、自由度の高い働き方を実現したい、という目線で「こんな職場があったらいいな」を形にしようと試行錯誤してきた。
その結果、私たちの事務所では現在、1日の労働時間を8.5時間に設定した「週休3日制」「フレックスタイム制」を導入した。ところが、なかなか思うようにいかない。
その原因の1つが「忙しさ」である。
もともと所定労働時間が長く、出勤日も4日間しかないことから、残業時間があまり確保できない分、出勤日の4日間がとにかく忙しい。「1人当たりが抱える業務量は、出勤日が5日の時と同じで、出勤日を単純に4日にしただけではうまく行かない」と遅ればせながら気付かされることとなった。
2つ目に苦戦したことが、「週休3日制でも、週休2日制と同じだけの給与水準を求められる」ということだ。
週休3日制でも、抱えている業務量は、週休2日制の時と同じであるから、同等の給与水準が求められるのは当然といえば当然である。
一方で、大きな発見もあった。
週休2日制のときと比較して、残業時間は圧倒的に減った。これは、忙しい中で、集中して業務に取り組もう、という雰囲気が醸成されたことにも一因がある。集中して黙々と業務に取り組む時間と、皆で集まってミーティングをする時間など、メリハリがつき、各々のタイムマネジメント力が強化された。加えて、近年力を入れていたIT化の推進と相まって、非効率だった私たちの事務所の労働生産性は飛躍的に向上することとなった。
そしてもう一つ、私たちが強く感じたことは、業務改善が急務だということ。現在、事務所内には業務改善プロジェクトが立ち上がり、「どうすれば、アナログで煩雑な業務をスムーズに進められるか」「クライアントのニーズをきちんと把握したい」など、たくさんの付箋がペタペタと貼ってある。
もし、週休3日制で、フレックスタイム制で、仕事にやりがいを感じられて、皆が笑顔で働ける職場が作れたら…そう思うと今からわくわくする。
この過程を楽しみながら、クライアントにも自信をもって、新しい働き方の導入を積極的に支援できる事務所になっていきたいと思う。
社会保険労務士岩野麻子事務所 代表 岩野 麻子【東京】
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