「三方良し」をめざして/わたなべ社労士事務所 代表 渡辺 康子
千曲川と浅間山を望む佐久平に事務所がある。田園地帯であり、自然の美しさを1年中感じながら生活している。
1年以上前になるが、台風19号で千曲川は荒れ狂った。千曲川のほど近くに、甚大な被害を受けた関与事業所があり、台風一過の晴天の下、事務所に流れ込んだ土砂をただただ運び出したことを思い出す。この事業所は、現在、台風前よりも従業員が増えた。自然の力をみせつけられたが、人間の力にもまた、希望を感じている。
私が、社会保険労務士の業務に初めて携わったのは、二十数年前になる。「開業前に、ちょっと修業」と考え、社会保険労務士の事務所に就職をした。長居をする予定はなかったのだが、知らないことの多さに開業の勇気がなくなってしまった。
就職から十数年、いつもの朝を迎えていた。ラジオから「やりたいと思うだけでできずに死んでいくことは、一番残念。リスクだ」と話しているのが聞こえてきた。一念発起し、それから1カ月後に開業した。
開業初日、飛び込み営業をしたことを思い出す。時が過ぎ、現在、頼りになる職員2人と仕事をしている。
育児介護休業法の誕生とほぼ近く、社会に出た。女性も会社に就職して働くことは当たり前になり、結婚しても、子供を産んでも働き続ける人が多くなった。しかし、女性の働きやすさは、まだ道半ばの気がする。
長時間労働が美徳であるかのような時代から、働きすぎの問題がいわれるようになった。それでもまだ、過重労働で体を壊す人がいる。まだまだ改革が必要ではあるが、少しずつ社会は変わっている。
「働き方改革」。私たちは大きな法律改正の真っただ中にいる。中小企業でもいよいよ「同一労働同一賃金」が始まる。これも何年かのうちに社会を変えていくのだろう。
大きく変わったと感じていることがある。企業と働く人の関係である。退職時等に理解に苦しむような主張をしてくる方が増えたように感じる。情報の多さや、人間関係が希薄になっていることに関係しているのだろうか。周りを見渡すと若者は四六時中、携帯電話を握りしめている。友達といても携帯でゲームをしているらしい。これでは人間関係を築くことも困難かもしれない。
少子高齢化、過重労働、新型コロナ感染症等々、様ざまな社会情勢の変化への対応も求められている。法律知識に加えたくさんの経験や知恵が必要である。
私の好きな言葉は「三方良し」。みんなが「良し」となるよう精進していきたい。
わたなべ社労士事務所 代表 渡辺 康子【長野】
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