走行距離に応じた「歩合給」が最賃違反 近畿地方の労働局が運輸業へ一斉監督
2017.02.02
【監督指導動向】
労基法違反率は7割超
大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の2府4県の労働局は合同で、運輸業者に対して一斉監督を実施、結果を公表した。144事業場に立ち入り、労働法上の違反があったのは105事業場だった(違反率72.9%)。
労基法関係では、36協定の限度時間を超えている、36協定を結んでいないのに残業させているといった労働時間に関する違反が最も多く45.8%だった。割増賃金や労働条件明示に関する違反もめだつ。
改善基準告示に関するものでは、総拘束時間、最大拘束時間の関連がともに4割前後の違反率となった。
実際の監督指導事例も明らかにしている。たとえば、走行距離や運賃収入に応じた「歩合」により支払われていた賃金が大阪府の最低賃金を下回っていた事業場に対しては、最賃法第4条や労基法第37条に基づく適切な賃金と残業代の支払いを命じた。
改善基準告示で定める1月当たりの総拘束時間限度である293時間を超える348時間の拘束時間が認められ、36協定の上限時間もオーバーして違法残業させていた事業場にも指導している。労基法第32条などの是正勧告をすると同時に、長時間労働抑制や重労働による健康障害防止についての指導文書を交付した。
今回の結果に基づき6労働局は近畿運輸局と合同で、運輸業の業界団体に対して労働時間の適正化などを求める要請を行っている。とくに、長時間労働の抑制に向けては荷主の協力が不可欠なことから、荷主を巻き込み業界全体で動くことが重要としている。