【主張】社会を支えた就業率上昇

2020.11.26 【主張】
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 厚生労働省がまとめた令和2年版「厚生労働白書」によると、この30年間、生産年齢人口の急速な減少を補うほどの就業率上昇がみられたと述べている。

 人口動向は、わが国経済・社会の未来を大きく左右するが、厚労省を中心とする労働力対策が、一定の成果を収めていると評価できよう。今後は、女性、高齢者の一層の就業率向上と適度な外国人労働者の受入れを行いながら、デジタル投資の積極化による労働生産性アップを実現させていく必要がある。各視点からの総合的対策を継続していけば、生産年齢人口の減少危機を緩和できそうだ。

 20~64歳の人口動向をみると、この30年間で7590万人から6925万人へと大幅な減少を記録した。他方で、65歳以上人口は、1489万人から3589万人へ、約2.4倍となっている。人口の高齢化シフトが強烈なインパクトとして表面化していよう。人口構成からみると、社会が高齢者の生活を支え切れなくなる可能性が高い。

 しかし現実は、その恐れが緩和されている。就業者数が同期間に6128万人から6724万人へ拡大しているためである。減少どころか、約600万人も増加となった。その要因は、男女別、年齢階層別就業率の全面的上昇にある。たとえば、女性25~29歳層では57%から82%に、男女計の65~69歳層では、37%から48%へと増加した。

 白書では、「人生100年時代」が現実味を帯びてきたと指摘した。今後も人口の高齢化は間違いなく着実に進んでいくものの、就業率の向上がこの流れを支えることになりそうだ。厚労省を中心に、先見性をもって地道に継続してきた女性、高齢者の各種労働力対策が、成果を生んだとみることができる。

 ただ、労働力対策だけでは先進国としての経済的地位を維持できない。健康寿命の延伸とともに、労働生産性アップをめざした対策を果断に仕掛けていくことが重要となる。2040年代には「技術的特異点」が到来するという。デジタル投資による労働生産性アップを強力に推進しなければならない。

令和2年12月7日第3283号2面 掲載
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