企業型DC導入を支援/スワン社労士事務所 鷲見 文代

2020.12.06 【社労士プラザ】
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スワン社労士事務所
鷲見 文代 氏

 少子高齢化が進むなか、労働法と社会保険法の改正が続く。企業は、法令遵守のためもあるが、もとより事業継続のために適切な対応を考えなければならない。最近の国の施策傾向からも、企業には「従業員が安心して働ける職場づくり」の意識が大切である。そして、企業が導入しやすいように国が制度設計しているものについては、それを活用した取組みが有効である。

 弊所は今、企業型確定拠出年金の導入支援業務に力を入れている。昨年の年金2000万円不足問題もあり、従業員の老後の資産形成の意識が高まっているなか、優れた退職金制度は企業の魅力の一つになると考えるからだ。企業型確定拠出年金には、「マッチング」、「給与に上乗せ支給」、「加入の選択権を従業員に付与する選択制」などのバリエーションがある。ヒアリングを行い、各企業の要望に合ったオーダーメイドスタイルを提案していく。

 企業側のメリットは、退職金の積立不足と退職金給付債務が発生しないこと、確定給付年金に比べ運営コストが低いこと、そして掛金および制度導入・維持の諸費用は全額法人の経費にできることがある。

 一方、デメリットを挙げるならば、従業員への継続的な投資教育の努力義務を負うことがあるが、メリットに比べて重い負担ではないと思う。

 そして従業員のメリットは、個人型と違い、費用負担ゼロで効率的な老後の資産形成ができることだ。弊所が導入した企業の従業員からもありがたいという声を聞くことができた。転職時等における個人の年金資産のポータビリティーも整備されているが、従業員に喜ばれる制度は従業員の職場定着にも効果的と考える。

 確定拠出年金法は2002年に施行されてもう20年が経とうとしている。

 企業型は、多くの大企業は既に導入済みだが、中小企業ではまだ初耳という企業が圧倒的に多い。厚生年金保険適用事業所約240万社のうち、今年8月末現在の導入企業数は約3万6000社である。確定拠出年金による資産形成は、長期間の資産運用が前提なので、労使双方にメリットのある企業型の普及が中小企業にも早く進むことを願う。

 私が開業した当時は、年金業務は対個人のイメージであった。それから10年以上経過し社会状況が大きく変化した今、思いがけず対企業の業務に広がり、大きなやりがいを感じている。社労士として、大切な顧問先企業の継続と発展に貢献できるよう、これからもスタッフとともに努力していきたい。

スワン社労士事務所 鷲見 文代【岐阜】

【webサイトはこちら】
https://www.swan-sr2.com/index.html

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令和2年12月14日第3284号10面 掲載
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