【主張】コロナ感染も規模間格差
厚生労働省による最新のテレワーク導入状況調査によると、企業規模別の導入割合に大きな格差があることが判明した=関連記事。中小・零細企業向けに実効性のある支援策を打ち出すべきである。
今年8月以降に実施した「テレワークの労務管理等に関する実態調査」(速報版)で明確となったのは、規模別のテレワーク導入割合があまりにも大きいことだ。
テレワークを制度化している割合は、従業員1000人以上で43%に達しているのに対して、100~299人規模は14%と少数派に留まっている。企業数の多い99人以下になると6%まで低下する。サテライトオフィスやモバイル勤務の導入状況も同様だ。
大手企業に所属する多数の従業員は、当たり前のようにテレワーク勤務を許されるが、中小・零細の大多数の従業員は、事実上困難である。新型コロナ感染上の危険性でも大きな規模格差が生じていることになる。感染拡大防止の面からこの規模格差を考慮した対策をさらに強化していくべきであろう。
企業が求めている支援策としては、「テレワーク導入のための費用の助成」「テレワーク導入に関するマニュアル・ガイドラインなどの提供」「テレワークの導入に関する好事例の情報提供」が上位となっている。なかでも、「費用の助成」は、やはり規模が小さくなるほど要求企業割合が高い。大手企業が62%、99人以下が75%となっている。
現在、厚労省が運用している働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)では、補助率2分の1、1企業当たり最大200万円の助成となっているが、十分とはいえない。モバイルPCやスマートフォンなどのICT関連機器費用、通信費、光熱費、作業用デスクといった環境整備費のほか、テレビ会議システムなどが必要となれば、導入をためらう中小・零細企業が出てくるだろう。
助成金申請手続きの簡素化とともに、中小・零細企業が将来にわたり安心してテレワークが運用できるよう補助率などの引上げを求めたい。コロナ禍において、財政支出を惜しんではいられない。