必要とされる場を追求/アスパワー社労士事務所 代表 川口 潤
これまで不思議と幸運が続いている。私は令和元年5月に開業したばかりの新人社労士である。労働基準監督官を30歳代最後の年に辞めて、故郷名古屋に戻ってきた。
独立することは任官前から考えていたが、幸運だったのは、妻の反対に全くあわずに開業できたことだ。普通は安定した公務員を辞めるのは大反対だろうし、退職時に妻は双子を身ごもってもいた。家族6人での不安な船出のはずなのに、「うん、あんたなら大丈夫」と二つ返事で了承された。一生頭が上がらないとはこのことである。
次に幸運だったのは、ある仕事との出会いだ。開業当初は、仕事につながる友人などの縁が皆無だったため、監督官の経験を引っさげて、死亡災害が報道された会社にアポなし営業したが、けんもほろろの結果だった。業界団体に対しても電話やメールで「セミナー講師できます」とアピールしたが、これも反応が薄かった。
しかし、意気消沈していたのもつかの間、流行りのウーバーイーツの仕事が名古屋でもできることが分かった。これで当面、最低限の生活費は稼げるようになった。
さらに同じ頃、県社労士会のホームページで「働き方改革推進支援センター」(厚生労働省委託事業)の派遣専門家の募集案内をみつけたので、すぐに応募した。生活がかかっているので当然である。すると、次第にセンターから訪問先の会社を案内してもらえるようになった。
委託事業では、社労士としての営業は厳禁である。なので、一期一会という意識で相談対応を精一杯続けていたら、先方からぜひ顧問になってほしいとか、就業規則の変更をお願いしたいなどと言ってもらえることが少しずつ出てきた。このような幸運が重なり、私を求めてくださる方々が徐々に増えて今に至っている。
社労士になって面白い出来事があった。「同期対決」である。ある会社から、監督署に指導を受けたのでサポートしてほしいと言われた。社労士として監督署への初対応となったが、その相手の監督官がなんと私の同期であった。その同期には是々非々で対応するも無用な争いなく済んだが、同期はさすがに動揺の色を隠せない様子だった。
今は辛うじて運をつないでいる毎日だが、いつかは幸運から見放される時期も来るだろう。
人間万事塞翁が馬である。しかし、どんな環境下でもすべきことをやり続けることで道が開けていくと信じて、自分が必要とされる場を今後も開拓していきたい。
アスパワー社労士事務所 代表 川口 潤【愛知】
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