『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2025.03.13 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第103回 『量子超越 量子コンピュータが世界を変える』 ミチオ・カク 著、斉藤 隆央 訳/三遊亭 楽麻呂 NEW

未来は希望しかないか?  今年は量子力学が誕生して100年目になる。マックス・プランクが黒体放射を考えた結果、「量子論」という新大陸を発見したのが1900年。以後、数多の物理学者が上陸し、新しい大地のあちこちで開拓を始めた。アインシュタインは少し新大陸に寄ったかと思うと、また古典物理学という旧大陸に戻ったりとかなり悩んだらしい。そして19……[続きを読む]

2025.03.06 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第102回 『京都四条 月岡サヨの小鍋茶屋』 柏井 壽 著/神楽坂 淳

“料理屋小説”の真骨頂  小説のお手本のような小説である。キャリアからしてもそうなのだが、小説をこの人のように書くのは大変だ。  小説というのは握り飯のようなもので、力を込めてぎゅうっと握るとなんとなく形になる。しかしそうすると梅や鮭の味はしても、米の味は死んでしまって塩むすびなどはまずくなってしまう。かっちりとぼんやり握ると米の味がうま……[続きを読む]

2025.02.27 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第101回 『デジタルの皇帝たち』 ヴィリ・レートンヴィルタ 著/濱口 桂一郎

デジタル中産階級に希望  タイトルの「デジタルの皇帝たち」(原題は「クラウド・エンパイアズ」なので、正確には「クラウドの諸帝国」)とは、GAFAといわれるデジタル巨大企業だ。アマゾン、アップル、グーグル、ウーバーといったグローバルに展開するプラットフォーム企業によって、我われの生活は支配されている。本書は、ここ数十年のその展開の歴史を興味……[続きを読む]

2025.02.20 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第100回 『蔦屋』 谷津 矢車 著/大矢 博子

文化衰退にどう抗ったか  出版界の片隅に身を置くものとして、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』を毎週興味深く観ている。江戸中期から後期にかけて活躍した版元で、本の企画・出版から販売まで取り仕切った蔦屋重三郎の物語だ。  ここまでの放送でも、「吉原細見」(吉原遊郭の案内)を売るために有名人の平賀源内に序文を貰ったり、遊女からの入銀(ク……[続きを読む]

2025.02.13 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第99回 『王将の前で待つてて』 川上 弘美 著/荻原 裕幸

求人欄風の一句も  川上弘美さんの2冊目となる句集『王将の前で待つてて』が集英社から刊行された。川上さんは作家だけれど、小説とほぼ同じ長さの句歴をもつ俳人でもある。2010年に刊行された第1句集『機嫌のいい犬』も昨秋に文庫化された。このたびは、第1句集以後の活動から200句を超える作品を選んで構成している。加えて、30年間の自作30句にエ……[続きを読む]

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