『大河ドラマ』の労働関連コラム

2023.10.26 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第39回 『家康、江戸を建てる』 門井 慶喜 著/大矢 博子

現・東京を築いたプロの技  大河ドラマ『どうする家康』が佳境だ。太閤秀吉が亡くなり、老齢の家康がいよいよ天下取りに乗り出すところまで来た。その少し前、10月1日放送の第37回に興味深い場面があった。  天正20年(1592年)、北条攻めの後、家康は江戸への国替えを命じられる。馴染んだ故郷の三河・遠江から引き剥がし、湿地だらけの田舎へ追いや……[続きを読む]

2023.03.30 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第12回 『倭寇・人身売買・奴隷の戦国日本史』渡邊 大門 著/濱口 桂一郎

大河ドラマに出ない恥部  戦国時代といえば、幕末と並んでNHK大河ドラマの金城湯池だ。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑をはじめ、武田信玄、上杉謙信など英雄豪傑がこれでもかと活躍し、血湧き肉躍る華麗なる時代というのが一般認識だろう。だが、彼らの活躍の陰では、冷酷無惨な奴隷狩り、奴隷売買が横行していた。時代小説やドラマで形作られた戦国の華……[続きを読む]

2023.03.23 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第11回 『家康』安部 龍太郎 著/大矢 博子

経済視点からみる名武将  大河ドラマ『どうする家康』が毎週楽しくて仕方ない。家康といえば老獪なイメージが強かったので、松本潤さん演じる若くて頼りない家康が実に新鮮だ。このキラキラしたプリンスがいったいどんな道を辿れば釣鐘にいちゃもんをつけるような狸親父に仕上がるのか、それとも別の家康像が用意されているのか、今からワクワクしている。  それ……[続きを読む]

2022.06.23 【書評】
【本棚を探訪】第23回『炎環』永井 路子 著/大矢 博子

北条義時ら4人を活写  鎌倉幕府草創期を描く大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も折り返し地点を迎えた。主人公は小栗旬演じる北条義時だが、武家の中枢にいる源氏の人々や多くの御家人など、群像劇の要素もあり実に見応えがある。  それにしてもこの時代の権力争いは、戦国時代の国盗りとも、幕末の動乱とも違う。武家社会というそれまで存在しなかったシステムを作……[続きを読む]

2021.10.21 【書評】
【GoTo書店!!わたしの一冊】第38回『探偵工女 富岡製糸場の密室』翔田 寛 著/大矢 博子

尾高惇忠の娘が謎を解く  渋沢栄一の生涯を描く大河ドラマ『青天を衝け』が好調だ。幕末の動乱を経て、時代は明治に入った。新政府は諸外国に追いつくため様ざまな政策を実行に移すが、そのひとつが輸出品としての生糸の産出を担う富岡製糸場の建設である。  初代工場長は渋沢栄一の師であり従兄であり義兄でもある尾高惇忠。ドラマでも今まさにそのくだりに差し……[続きを読む]

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