『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2025.04.10 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第107回 『ヒルビリー・エレジー』 J・D・ヴァンス 著、関根 光宏、山田 文 訳/濱口 桂一郎 NEW

反上流階級の根底は…  今年2月、ホワイトハウスに招かれたウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカのトランプ大統領と口論を繰り広げて合意が破談になったが、そのきっかけはヴァンス副大統領の「失礼だ」「感謝しないのか」という発言であった。トランプに輪をかけた暴れん坊っぷりを世界に示したヴァンス副大統領とはどういう人物なのか? それを語る彼自身……[続きを読む]

2025.04.03 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第106回 『忍者の掟』 川上 仁一 著/山田 雄司

修行者のみが分かる嘘  本書は、現代に忍術を伝える甲賀伴党二十一代宗師家・川上仁一氏による自身の体験と、師から伝えられた「忍術」について解き明かした書である。  私が初めて川上氏に会ったのは、2012年に三重大学で忍者研究を開始したことに合わせて、『結Yui』という大学の雑誌の企画で対談したときだった。対談は伊賀の旧沖森邸の和室で行ったの……[続きを読む]

2025.03.27 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第105回 『秘密解除 ロッキード事件』 奥山 俊宏 著/濱口 桂一郎

心中に燻ぶる「虎の尾説」  ロッキード事件と言っても、多くの読者にとっては歴史上の事件だろう。筆者は当時高校生であったが、田中角栄元首相が逮捕されるに至る日々のテレビや新聞の報道は今なお記憶に残っている。田中が逮捕された頃、『中央公論』に田原総一朗の「アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄」というルポが載った。父が買ってきたその雑誌を読んで、ロ……[続きを読む]

2025.03.20 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第104回 『高宮麻綾の引継書』 城戸川 りょう 著/大矢 博子

へこたれぬ3年目の奮闘  鶴丸食品をトップに頂く、「食」にまつわる企業群としては国内でも大手の鶴丸グループ。その子会社である食品原料の専門商社TSフードサービスに入社して3年目の高宮麻綾は、グループ内での新規事業を提案するビジネスコンテストに絶対の自信を持ってエントリーした。  彼女のプランは食品ロスを出さない循環型社会。TSフーズが少額……[続きを読む]

2025.03.13 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第103回 『量子超越 量子コンピュータが世界を変える』 ミチオ・カク 著、斉藤 隆央 訳/三遊亭 楽麻呂

未来は希望しかないか?  今年は量子力学が誕生して100年目になる。マックス・プランクが黒体放射を考えた結果、「量子論」という新大陸を発見したのが1900年。以後、数多の物理学者が上陸し、新しい大地のあちこちで開拓を始めた。アインシュタインは少し新大陸に寄ったかと思うと、また古典物理学という旧大陸に戻ったりとかなり悩んだらしい。そして19……[続きを読む]

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