『書方箋 この本、効キマス』の労働関連コラム

2025.03.20 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第104回 『高宮麻綾の引継書』 城戸川 りょう 著/大矢 博子 NEW

へこたれぬ3年目の奮闘  鶴丸食品をトップに頂く、「食」にまつわる企業群としては国内でも大手の鶴丸グループ。その子会社である食品原料の専門商社TSフードサービスに入社して3年目の高宮麻綾は、グループ内での新規事業を提案するビジネスコンテストに絶対の自信を持ってエントリーした。  彼女のプランは食品ロスを出さない循環型社会。TSフーズが少額……[続きを読む]

2025.03.13 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第103回 『量子超越 量子コンピュータが世界を変える』 ミチオ・カク 著、斉藤 隆央 訳/三遊亭 楽麻呂

未来は希望しかないか?  今年は量子力学が誕生して100年目になる。マックス・プランクが黒体放射を考えた結果、「量子論」という新大陸を発見したのが1900年。以後、数多の物理学者が上陸し、新しい大地のあちこちで開拓を始めた。アインシュタインは少し新大陸に寄ったかと思うと、また古典物理学という旧大陸に戻ったりとかなり悩んだらしい。そして19……[続きを読む]

2025.03.06 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第102回 『京都四条 月岡サヨの小鍋茶屋』 柏井 壽 著/神楽坂 淳

“料理屋小説”の真骨頂  小説のお手本のような小説である。キャリアからしてもそうなのだが、小説をこの人のように書くのは大変だ。  小説というのは握り飯のようなもので、力を込めてぎゅうっと握るとなんとなく形になる。しかしそうすると梅や鮭の味はしても、米の味は死んでしまって塩むすびなどはまずくなってしまう。かっちりとぼんやり握ると米の味がうま……[続きを読む]

2025.02.27 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第101回 『デジタルの皇帝たち』 ヴィリ・レートンヴィルタ 著/濱口 桂一郎

デジタル中産階級に希望  タイトルの「デジタルの皇帝たち」(原題は「クラウド・エンパイアズ」なので、正確には「クラウドの諸帝国」)とは、GAFAといわれるデジタル巨大企業だ。アマゾン、アップル、グーグル、ウーバーといったグローバルに展開するプラットフォーム企業によって、我われの生活は支配されている。本書は、ここ数十年のその展開の歴史を興味……[続きを読む]

2025.02.20 【書評】
【書方箋 この本、効キマス】第100回 『蔦屋』 谷津 矢車 著/大矢 博子

文化衰退にどう抗ったか  出版界の片隅に身を置くものとして、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』を毎週興味深く観ている。江戸中期から後期にかけて活躍した版元で、本の企画・出版から販売まで取り仕切った蔦屋重三郎の物語だ。  ここまでの放送でも、「吉原細見」(吉原遊郭の案内)を売るために有名人の平賀源内に序文を貰ったり、遊女からの入銀(ク……[続きを読む]

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