人事・労務・安全衛生の労働実務相談Q&A

 日常職場で発生するトラブルの処理の仕方、安全衛生の諸問題、人事労務制度の内容、労働関係法の解釈など、紙面に寄せられた労働問題に関する相談を掲載しています。

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NEW2025.02.21 【労働基準法】

週の予定聞くこと可能か フレックス制を適用 始業終業委ねる条件だが

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 労働時間関係
Q

 当社では、研究・技術開発部門を対象にフレックスタイム制を導入しています。会議等を実施する際に個々に予定を確認するのは煩雑なため、適用される部門の上長が翌週の予定をまとめて聞く形でも問題ないでしょうか。会議等の出席に応じない従業員は通常の労働時間制に戻すことも可能でしょうか。【神奈川・N社】

A

会議等はコアタイムで

 フレックスタイム制を導入するためには、始業終業時刻について、労働者の決定に委ねる旨就業規則等に定めなければなりません(労基法32条の3)。したがって、あらかじめ出退勤時刻について上司の承認を要するといった制度は、始業終業時刻の決定を労働者自身に委ねているとはいえないでしょう。使用者は、コアタイムの時間を除き、労働者に対してある時刻までの出勤を命じるためには、労働者の同意を得て初めて行うことができると解されています(菅野和夫・山川隆一「労働法」)。会議がフレキシブルタイム中に、…

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NEW2025.02.18 【育児・介護休業法】

改めて付与が必要か 転換時に子の看護休暇

キーワード:
  • 子の看護休暇
Q

 当社は子の看護休暇に関する年度を1~12月の暦年としています。このたび契約社員を正社員へ転換することとなりました。子が1人いて、子の看護休暇の付与対象者です。1月中に1日取ったのですが、正社員転換後、改めて5日取得できるようにする必要はあるのでしょうか。【福島・A社】

A

労働契約連続で日数を引き継ぐ

 子の看護(等)休暇は、一の年度において5日(対象となる子が2人以上いるときは10日)付与されます(育介法16条の2)。一の年度は、就業規則などに別段の定めをしない場合、4月1日~3月31日です。

 この5日という日数は、一の年度内において、取得時期を問わず、最低基準として保障されています(令7・1・20職発0120第2号)。年度の途中で雇用されたなど1年に満たない期間が発生しても、最低限原則どおりの5日の付与が必要です。また、有期労働契約の場合に、たとえば契約期間が半年だからといって付与日数を2.5日とするようなことはできません。

 一方、…

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NEW2025.02.17 【衛生管理】

情報提供は受けられるか EAPへ相談を委託

キーワード:
  • メンタルヘルス
Q

 当社では、外部のEAPに、相談内容を明かさない条件でメンタル相談に応じてもらうサービスを頼んでいるのですが、休職の後退職した従業員が、休職の1年前からEAPのカウンセラーに相談していたことが分かりました。そのときに会社に言ってくれていれば手が打てたかも知れず、EAPとの契約関係を見直す必要があるか検討しています。一方で、「会社に伝わらないからこそいろいろ話せる」という声があるようです。どのようにすればいいのでしょうか。【岐阜・J社】

A

産業保健スタッフが連携 本人同意得るよう努める

 会社とEAPとの契約の形態が、相談の内容を伝えない(「報告は件数のみ」など)という場合、会社が情報を得るのは難しいでしょう。

 ただその場合も、EAPと契約する際、「カウンセラーが相談内容について会社に伝えることが適切と判断する場合、本人の同意を取る努力をする、同意が得られれば伝えることとする」という取り決めにしておくことが考えられます。ご本人との話の最初に「内容は会社には伝えない」ということになっていても、本人の同意があればもちろん伝達は可能となります。

 どうしても本人が同意しない場合は、どのように考えるべきでしょうか。…

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NEW2025.02.17 【雇用保険法】

シフト制で受給不可? 新設される時短給付

キーワード:
  • 短時間勤務
Q

 令和7年4月から、育児短時間勤務で賃金が低下したときの保険給付が新設されます。所定労働時間がはっきり決まっていないシフト制だと対象外でしょうか。【山梨・R社】

A

稼働実績から週平均を算出

 育児時短就業給付金は、2歳に満たない子を養育する雇用保険の被保険者に対し、事業主が講じた週の所定労働時間を短縮する措置である就業をした場合に、支給するとしています(改正雇保法61条の12、則101条の43)。

 シフト制は一般に、あらかじめ具体的な労働日、労働時間を決めず、…

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2025.02.14 【交通事故処理】

休業損害請求できるのか 海外渡航前に事故でケガ

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 海外の会社で働くことになり雇用契約を結びました。ところが渡航する前に交通事故に遭い、5カ月間、ケガの治療とリハビリを受けました。無事完治しましたが、この場合、加害者の損害保険会社に対して5カ月間の休業損害や海外のマンションの家賃等、海外の会社が購入してくれた航空チケット代などは請求できるのでしょうか。【茨城・M生】

A

会社の証明書などが必要 雇用契約書のみは不十分

 「請求する」と「支払われる」はイコールではありませんが、相談者がこの交通事故で受けた損害については、支払われるかどうかは別として請求すべきでしょう。

 海外の会社であろうと5カ月間の休業損害は発生しているのですから、損害保険会社に請求できます。ただし、そのためには、海外の会社にその証明書(日本では「休業損害証明書」という)を出してもらう必要があります。例えば「〇〇〔相談者〕は何月何日から何月何日まで5カ月間休業したため(日本円で換算すると)〇〇〇万円支払わなかった」といったような、給料についての損害額が分かる証明書です。単に雇用契約書を提出するだけでは休業損害は支払われず、海外の会社のこのような証明書を提出することが必要です。

 もっとも、証明書があれば必ず支払われるわけではありません。損保会社の対応として、…

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