労働能力喪失といえるか 本人努力で収入変わらず

2023.10.31 【交通事故処理】
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Q

 私は、自動車運転中にバイクを転倒させる事故を起こし、バイク運転手のX氏は、自賠法施行令別表第二の後遺障害等級第8級1号に該当する後遺症(左眼の視力が0.02以下)を遺しました。X氏は、長年従事していた営業職の継続が困難になり異動になりましたが、X氏が職場近くに転居し、労働時間を増やすなどの努力をしたため、年収は減少しませんでした。この場合でも、X氏の労働能力喪失は認められるのでしょうか。【神奈川・S生】

A

公平の観点から補償も 「特段の事情」が必要に

 X氏の8級の後遺症は、いわゆる赤本の後遺障害別等級・労働能力喪失率表では、労働能力喪失率が45%とされていますが、そのまま認められるのでしょうか。

 関連する判例(最三小判昭56・12・22)があります。交通事故により身体障害等級14級程度の後遺症を負った被害者が、事故後も給与面で格別不利益な取扱いを受けていない場合に、労働能力喪失が認められるかが争点になりました。判決は、「後遺症の程度が比較的軽微であって、しかも被害者が従事する職業の性質からみて現在又は将来における収入の減少も認められないという場合においては、特段の事情のない限り、労働能力の一部喪失を理由とする財産上の損害を認める余地はない」と述べました。…

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    2023年11月1日第2437号 掲載
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