給料の「前借り」
2017.10.26
- Q
当社の従業員(月給制)で、今月は生活が苦しいとして、給料日前の週払いを求めてきました。「前借り」の労基法上の扱いですが、どのように考えればいいのでしょうか。
- A
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前借りに関して労基法17条はありますが、「前借金そのものは禁止せず、賃金と相殺することを禁止するにとどめたもの」ということになります。すなわち、「後の賃金を得るために労働すること」を条件とした借金はダメ(事前の前借り)、一方、すでになした労働についての「給料の前払い」はこれに当たらないと解されています(弁済期の繰上げ)。
なお、「貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条(17条)の規定は適用されない」(昭23・10・15基発1510号)としています。しかし、実際上の判定は必ずしも容易でなく、前貸しの条件その他の事情を総合的に判断して決定されなければならない(労基法コンメンタール)ということになります。
ちなみに、原則月払で支払われる賃金を、所定労働日の翌日に受け取れる「サービス」について、利用する労働者にはメリットがあり、自らの申請によるものとして有効とした例(さいたま地裁川越支判平29・5・11)があります。
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