経歴詐称の懲戒解雇
2018.12.07
- Q
大卒を高卒と偽って市役所に入職した公務員が懲戒免職とされたニュースを見ました。長年、支障なく勤務していたのならずいぶん重い処分のように思うのですが、裁判ではどのような例が示されているのでしょうか。
- A
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判例の中は、企業秩序違反になると解し、懲戒事由に該当するとしたものがあります(逆学歴詐称につき、スーパーバッグ事件〈東京地判昭55・2・15〉)。
本件で、裁判所は、「工場の従業員…を高卒以下の学歴の者のみで構成しており、学歴の等質性を前提として、工場の職制、人事管理体制を組織していたのであり、未だこの方針に例外を設けたことはない…のであるから、企業秩序を維持するために、大学…卒業者をオペレーターとして採用しないことには十分な合理性が認められる」としました。そして、「労使間の信頼関係は、経歴詐称の発覚により、ほぼ完全に破壊された」と結論付けました。約1年9カ月の勤務で、懲戒解雇有効とされています。ちなみに報道の公務員は、定年後の期間も含め、約38年勤務していたといいます。
近年では、学歴などに関する真実告知義務を負うことを前提に、懲戒解雇事由に該当する(メッセ事件、東京地判平22・11・10、本紙2830号)としたものがあります。ただ、こちらは、中途採用で、経歴・職歴を偽ったものでした。
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