「登録者」の個人情報も保護? 労働契約締結する前 派遣法適用される対象か
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派遣法は、個人情報の保護に関し厳しい規制を設けています。一般労働者派遣事業を営む事業所で登録型派遣を実施する際、登録者の個人情報も取得します。登録者と会社の間では正式に雇用契約が締結されていませんが、この場合も個人情報保護の対象になるのでしょうか。【栃木・F社】
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雇用者と収集範囲異なる
個人情報保護法は、「生存する個人に関する情報」を対象とするので(第2条第1項)、雇用労働者以外の登録者等の情報も、当然、その適用範囲に含まれます。ここでは、派遣法上の規制が登録者に及ぶか否かを検討します。
派遣法は、業務の目的達成に必要な範囲内で、労働者の個人情報を収集・保管・使用するよう求めています(第24条の3)。派遣元事業主・従業者等は、正当な理由がなければ、知り得た秘密を他に漏らしてはなりません(第24条の4)。
派遣法でいう「派遣労働者」は、「現に雇用している状態にある者をいい、登録しているだけで雇用していない労働者は派遣労働者に該当しない」と解されています(労働者派遣事業業務取扱要領)。しかし、派遣元指針(平成11・労働省告示第137号)では、個人情報の保護を図るべき対象範囲を「派遣労働者になろうとする者および派遣労働者(併せて「派遣労働者等」といいます)」と定めています。
「派遣労働者等」に該当する人については、原則として次に掲げる個人情報の収集が禁じられています。
① 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生 地その他差別の原因となるおそれのあるもの
② 思想および信条
③ 労働組合への加入状況登録者も「派遣労働者になろうとする者」に含まれるので、保護の対象に含まれます。ただし、登録段階と現に雇用する段階では、収集の対象となる「業務の目的達成に必要な」個人情報の範囲が異なる点に注意が必要です(前掲取扱要領)。
・登録段階の者
希望職種、希望勤務地、希望賃金、有する能力・資格等
・雇用段階の者
給与事務、労働・社会保険の手続き上必要な情報
派遣元事業主は、「個人情報適正管理規程」を作成し、情報取扱者の範囲を定め、苦情処理担当者を指名する等の措置を講じなければいけません。
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