外部労組に協定効力及ぶか 年休の計画付与を拒否 企業内で過半数労組と締結

2012.03.05
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Q

 当社では、年休の計画的付与を実施しています。今年も、例年同様に夏季の付与を協定したのですが、その時季に取得したくないと反対する従業員が現れました。話を聞くと、「自分は外部労組に個人加入したので、企業内労組の締結した協定は効力が及ばない」と主張します。当人のいい分が正しいのでしょうか。【徳島・U社】

A

協約でなく全従業員対象

 使用者と過半数労組(ないときは過半数代表者)が労使協定を結べば、年休残日数のうち5日を超える部分について年休の取得時季を決めることができます(労基法第39条第6項)。この場合、「労働者の時季指定権および使用者の時季変更権はともに行使できない」とされています(昭63・3・14基発第150号)。これを、年休の計画的付与と呼んでいます。

 労基法では、このほか賃金の控除(第24条)・変形労働時間制の導入(第32条の2~第32条の5)など労使協定の締結を条件とする規定が多数存在します。協定を結べば、「賃金の全額払いの原則にもかかわらず賃金の一部を控除して支払うことを認めるなど、労基法上の一定の法規制を免除してもらえるという効果(免罰効果、強行的補充的効力を免れるという効果)」が発生します(菅野和夫「労働法」)。

 しかし、年休の計画的付与の場合、免罰効果等のほか、「年休日の特定をなし得る(個々の労働者の年休の時季指定権を拘束する)」という特別な効果を持つ点が指摘されています。

 このため、「過半数労組が協定を結べば、すべての従業員(なかでも少数組合の加入者)も拘束するのは、納得がいかない」という意見も出てきます。

 しかし、労基法上の労使協定は「集団的、統一的な取扱いであって労働協約ではないので、多数組合の結んだ労使協定の効力は同法上の効力として少数組合員にも及ぶ」と解されています(安西愈「改正労働時間法の法律実務」)。

 時間外・休日労働(36)協定に関する行政解釈(昭23・4・5基発第535号)では、多数組合と少数組合が併立しているケースで、「過半数労組と協定すれば足り他の労組と協定する必要はない」と述べています。年休の計画的付与についても、これと異なる解釈を採るべき理由はないといえます。

※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。

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平成24年3月5日第2863号16面 掲載
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