転居に伴う失業給付は? 配偶者が遠方へ再就職 4月の法改正どう影響する
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女性従業員の方ですが、夫の再就職先が現住所から遠く、転居するかどうかで悩んでおられます。仮に、転居に伴い当社を退職した場合、雇用保険の取り扱いはどうなるのでしょうか。平成24年4月から、改正雇用保険法が施行されていますが(本紙平成24年1月30日1面)、何か影響があるでしょうか。【京都・H社】
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12カ月加入なら優遇なし
社内手続き上は、ご本人が退職願を提出し、退職金等も自己都合扱いとなるケースです。しかし、「正当な理由」があって離職したときは、特定理由離職者となります(雇保法施行規則第19条の2第2号)。
「正当な理由」の考え方は基本的に給付制限の対象とならない理由(雇保法第33条第1項)と同じですが、特定受給資格者となる理由は除かれます。
正当な理由の1つとして、「配偶者の再就職に伴う別居(または配偶者の事業主の命令による転勤もしくは出向)」が挙げられています。お尋ねのケースは、これに該当すると認められる可能性が高いでしょう。
特定理由離職者の利点は現在のところ、2種類あります。第1は法律の本則に基づく規定で、「離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上」ないときも、「離職の日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上」あれば、基本手当の受給資格を得られることです(雇保法第13条第2項)。
第2は附則に基づく暫定措置で、特定受給資格者とみなして基本手当の所定給付日数の上乗せを受けられるケースがあります(同附則第4条)。暫定措置の期間は、当初平成24年3月31日までと定められていましたが、平成24年の法改正により、平成26年3月31日までに延長されました。
ただし、暫定措置はすべての特定理由離職者が対象ではなく、範囲が限定されています(雇保法施行規則附則第18条)。
① 有期契約が満了し、契約更新がないことによる離職者(本人が更新を希望した場合に限ります)
② 正当な理由による離職者(離職日以前1年間に被保険者期間が6カ月あることにより資格取得した者に限ります)
お尋ねの方が、離職日前2年間に被保険者期間が12カ月以上あれば、暫定措置の延長等による影響はないという結論になります。
※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。