緊急事態だが休日労働ムリ? 労働条件理由に拒否 やむを得ない事情あるが
- Q
当社では、正社員を組合員とする過半数労組と、時間外・休日労働(36)協定を結んでいます。先日、緊急事態が発生し、女性パートに休日労働を要請したところ、「労働条件通知書でも休日労働なしとなっている」と拒否されました。やむを得ない事情があっても、会社には休日労働を命じる権限がないのでしょうか。【岩手・V社】
- A
-
業務上必要でも合意優先
法定休日労働は、労基法第33条または第36条を根拠に可能となります。
第33条は、災害発生時等に行政官庁の許可を受けて(あるいは事後届出により)法定休日労働を命じるパターンです。昨年の東日本大震災発生時などが、分かりやすい例でしょう。
「災害その他避けることのできない事由」とは、業務運営上通常予想し得ない事由を指し、避けることのできない事由であっても恒常的なものは含まれません。お尋ねの女性パートは、労働条件通知書で「休日労働なし」という労働条件が定められています。
しかし、労基法第33条(災害発生時等の時間外労働等)については、「事柄の性格上、労働協約、就業規則等に明示していない場合にも一定の範囲で私法上の時間外・休日労働に従う義務を認め得る」と解されます(労基法コンメンタール)。女性も、妊産婦が請求した場合を除き(労基法第66条第2項)、第33条に基づく休日労働要請に応じる必要があります。
「災害発生時等」に該当しないときは、労基法第36条に基づく通常の休日労働命令を発することになります。
正社員を対象とする36協定上に、「組合員について…と定める」等の記述があっても、特段の事情がない限り組合員以外の者にも効力が及びます。しかし、36協定の「休日労働をさせる業務の種類・労働者数」の中にパートが含まれていなければなりません。
36協定上、休日労働が可能でも、休日労働に服すべき義務が発生する根拠は、個々の労働契約に基づきます。仮にパートの就業規則上、「休日労働があり得る」という規定があっても、労働契約の内容が就規を上回るときは労働契約が優先です(労働契約法第7条)。「業務上の必要があっても、休日労働を免じる」旨の合意は、一般的には労働者に有利な内容と判断されるでしょう。
※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。