夏季休暇の希望日なし!? 年休カレンダーで付与 時季指定されずどうする
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節電のため、夏季、1人3日ずつ時季を指定して、年休を取得してもらう計画です。しかし、スケジュールの提出に応じない社員がいて、困っています。年休の計画的付与の場合、休む日が決まれば、従業員は拒否できないと聞きます。しかし、あらかじめ時季が指定されない場合、どうなるのでしょうか。【栃木・U社】
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例外的に日数減も検討を
年休は、従業員が取得時季を指定し、それに基づき付与されるものです。労基法では、「使用者は、年休を労働者の請求する時季に与えなければならない」という原則を明文で示しています(第39条第5項)。
会社が節電等の業務上の理由に基づき休業する場合も、本人の同意を得て年休を充てることは可能ですが、取得の強制はできません。
例外として、年休の計画的付与を用いる方法があります(労基法第39条第6項)。過半数労組(ないときは過半数代表者)と書面による協定を結べば、協定の定めにより年休を与えることができます。
本項は昭和62年の労基法改正で追加されたものですが、労使協定が締結されれば個々の労働者を拘束する法的効果を持ちます。計画的付与日が指定されると「労働者の時季指定権および使用者の時季変更権はともに行使できない」と解されています(昭63・3・14基発第150号)。
しかし、お尋ねにあるとおり、本人が取得日を指定しなければ、取得の強制もできない理屈となります。そもそも、計画年休には次の3パターンがあります。
① 全社一斉付与
② 班別等の交替付与
③ 年休カレンダー方式による付与すべて計画的付与と呼ばれていますが、①②と③は、若干、その性格が異なります。年休カレンダー方式については、「現行法上、労働者の時季指定権行使による特定の応用例(季節の指定とその後の調整による特定)と理解するほかなかろう」という見解が示されています(菅野和夫「労働法」)。
①②の方法による場合も、「付与日があらかじめ定められることが適当でない労働者については、対象から除外することも考慮する」よう要請されています。計画的付与の趣旨をよく説明し、「どうしても時季指定できない事情」がある場合に限っては、例外扱い(日数減)も考慮すべきでしょう。
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