1カ月変形の協定届出か 不要な場合あると聞く 手続きパターンを教えて
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この春に人事部に配属され、労基法を学習しています。1カ月単位変形労働時間制を規定する労基法第32条の2第2項では、「第1項の協定を行政官庁に届け出なければならない」と規定しています。しかし、1カ月単位変形制では届出が必要でないケースもあると聞きます。どのように理解すれば、よいのでしょうか。【埼玉・H生】
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「決議方式」なら必要ない
1カ月単位変形労働時間制の導入要件は、「労使協定または就業規則その他これに準じるものにより同制度に関する定めをする」(労基法第32条の2第1項)ことです。この要件は平成11年施行の改正労基法で変更されましたが、変更以前は「就業規則等で定めをする」方法だけが規定されていました。
協定方式が存在しないのですから、改正法施行以前は協定の届出を義務付ける同条第2項も存在しませんでした。
改正により、基本的に1カ月単位変形制の手続きは3パターンに整理されました。
① 従来の就業規則方式(協定の締結・届出不要、就業規則の変更届必要)
② 協定方式(協定の締結・届出必要、就業規則の変更届も必要)
③ 決議方式(決議必要、協定の締結・届出不要、就業規則の変更届必要)①②については、改めて説明不要でしょう。③の決議方式ですが、時短促進法(現在は、労働時間設定等改善法に改称)では、労働時間短縮推進委員会(現在は、労働時間等設定改善委員会)を設け適法に決議すれば、一定範囲の労使協定を決議に替えることができると規定しています(第7条)。
1カ月単位変形制の協定方式が新設された際、決議で代替可能な協定の中にこの第32条の2に基づく協定が加えられました。
さらに、平成12年から施行された企画業務型裁量労働制についても、同様に労使委員会の決議を協定に代える仕組みが設けられました(労基法第38条の4第5項)。
決議を協定に代えるのですから、決議を労基署に届出るべきか否かという疑問が生じます。解釈例規では、「協定代替決議の中で行政官庁への届出を要するもののうち、1カ月単位変形労働時間制(以下略)については、届出を要しない」と述べています(平12・1・1基発第1号)。
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