パートの雇止め困難に? 「判例法理」を法定化 有期の雇用契約繰り返す
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改正労働契約法が公布され、一部は公布日から施行されています(平成24年8月27日付本紙1面)。いわゆる「雇止め法理」が法定化され、パートの雇止めが難しくなると聞きます。法律の施行前に、既に雇用期間が長期に及んでいるパートがいる場合、「雇止め法理」の適用があるのでしょうか。【大阪・F社】
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施行前後で判断変わらず
労働契約法は、労働契約の内容の決定・変更に関する民事的ルールを体系化するものです。今回の改正では、なかでも有期契約に関するルールに絞って、内容の充実が図られました。
ポイントは次のとおりです。
① 無期転換ルールの創設
② 雇止め法理の法定化
③ 期間の定めによる不合理な労働条件の禁止①③は、「公布(平成24年8月10日)から1年以内」、②は公布日から施行です。
有期契約は、民法上、期間満了とともに当然に終了するのが原則です。しかし、契約が反復更新された後の「雇止め」には、判例法理により一定の制限が課せられるに至っています。
新しい条文では、雇止め法理の適用が想定される有期契約を2タイプに分類しました。
第1号 有期契約の反復更新により、雇止めが解雇と社会通念上同視できる
第2号 契約更新の期待に合理的な理由がある。第1号は「東芝柳町工場事件、最判昭49・7・22」、第2号は「日立メディコ事件、最判昭61・12・4」がプロトタイプになると説明されています(平24・8・10基発0810第2号)。
有期契約が第1・2号に該当し、パート労働者等が契約の更新・新規契約の締結を申し込んだ場合、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない雇止めは認められません。契約期間を含め、同一の労働条件で契約が更新・締結されたとみなされます(法定更新)。
雇止め法理に関する部分は公布日施行ですが、「判例の内容や適用範囲を変更することなく規定したものである」(前掲解釈例規)ため、公布日の前後で雇止めの合理性判断に相違はないと考えられます。
実務的には、「契約期間の満了前に使用者が更新年数・回数の上限などを一方的に宣言しても、雇止め法理の適用を免れない(合理的期待等を否定する理由にならない)」点に注意が必要です。
※内容は掲載当時のものです。法改正等により内容に変更が生じている場合がございます。