パートの年休は時給のみ計算? 交通費含めていない 固定手当も計算すべきでは
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時間給パートの年休で質問があります。パートといっても、週5日のフル勤務で、交通費は定期代相当額を支給しています。年休時の賃金計算方法(労基則第25条)をみると、時給と月極賃金(交通費)は別々に計算し、加算するものとされています。当社では、その日の時給のみ支給しているので、心配になりました。問題があるのでしょうか。【広島・K社】
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欠勤控除せず合算不要に
年休取得時に支払う賃金額は、①平均賃金、②通常の賃金、③健保の標準報酬日額の中から、使用者があらかじめ選択し、就業規則等で定めます。
②の通常の賃金を選ぶ場合、その計算方法は労基則第25条の規定に従います。
第25条のうち、お尋ねと関係ある項目をピックアップしました。
第1号 時間により定められた賃金は、その金額に所定労働時間を乗じた金額
第4号 月によって定められた賃金は、その金額を月の所定労働日数で除した金額
第7号 賃金が前各号の2以上よりなる場合、それぞれ算定した金額の合計額ですから、パートの賃金体系が、時間給と月極の固定手当(例えば、リーダー手当、家族手当、通勤手当)の併用制を採る場合、時間給部分と固定手当部分を「それぞれ計算し、合計」する手続きが必要となります。
固定手当部分を別に計算する必要があるのは、固定手当といっても、事情のいかんに関係なく必ず一定額が支給されるものではないためです。通勤手当も、長期欠勤時(例えば、私傷病休職)には日割按分の対象となるはずです。
しかし、短期の年休取得の場合、1カ月の定期代(通勤費)はフルに支払うのが通常です。これは、通勤費の部分に限り、「月給者等については、通常の出勤をしたものとして取扱えば足りる(賃金カットしない)」(昭27・9・20基発第675号)という解釈例規にしたがって処理したのと同じ形です。
控除なしで通勤費を支払い、年休賃金の計算で「合算方式」を用いるとダブルカウントになります。みかけ上、年休取得者に「時間給×所定労働時間」の賃金のみ支払っていても、キチンと説明すればパートの方も理解されるはずです。
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