2024年2月配信の人事・労務・安全衛生の労働実務相談Q&A

2024.02.29 【交通事故処理】

被害者側に過失はあるか 飛び出してきた子はねる

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 私は自動車を運転中に歩道から急に飛び出してきた3歳の子をはねてしまいました。その子は母親と手をつないで歩道を歩いていたのですが、母親が知人と出会って手を離して話に夢中になっている間に子が飛び出してしまったと聞きました。3歳の子は不法行為責任を負わないと聞いたことがあるのですが、このような場合、過失相殺をすることも認められないのでしょうか。【神奈川・I生】

A

監督者の不注意も考慮 事理弁識能力ない可能性

 交通事故の損害賠償においては、被害者にも落ち度がある場合は、公平の観点から一定の割合で損害賠償額が減額されます。これを過失相殺といいます(民法722条2項)。この場合の被害者の過失とは、必ずしも加害者として不法行為責任を負う際の過失と同じものとは解されておらず、たとえば不法行為責任を負う場合に必要とされる「加害者に責任能力があること」までは要求されないといわれています。

 民法712条は、未成年者が「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったとき」には責任能力がないと定めていますが、…

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2024.02.28 【健康保険法】

残業多くて8.8万超? 「適用拡大」の対象か

キーワード:
  • 時間外労働
Q

 令和6年10月からの適用拡大ですが、週20時間以上の所定労働時間に関しては、場合によっては実態をみるというルールがあったはずです。報酬額が8.8万円の要件ですが、これも月によって変動があるというときは実態をみるということになるのでしょうか。【香川・T社】

A

2カ月間実績みることも 時間外部分を含めて判断

 週所定労働時間については、「事業主等に対する事情の聴取やタイムカード等の書類の確認を行った結果、残業等を除いた基本となる実際の労働時間が直近2月において週20時間以上である場合で、今後も同様の状態が続くことが見込まれるときは、当該所定労働時間は週20時間以上であることとして取り扱う」(平28・5・13保保発0513第1号など)などという取扱いが示されています。

 新たに被保険者となるのは企業規模を含む4要件を満たしたものです。要件の1つに、報酬(最低賃金法4条3項各号に掲げる賃金に相当するものとして厚生労働省令で定めるものを除く)について、…

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2024.02.28 【職業安定法】

公表義務ある情報教えて 人材サービスを比較検討

キーワード:
  • 派遣
  • 職業紹介
Q

 派遣や職業紹介の利用を考えています。人材会社がホームページで公表している情報が法定のものなのか、それ以外も含まれているのか、サービスを利用するかの参考にしたいのですが、公表が必要な情報は、派遣と職業紹介でそれぞれどのように決まっているのでしょうか。【兵庫・K社】

A

職業紹介 返戻金もネット可に 書面で提供されることも

 派遣元事業主は、①事業所ごとの派遣労働者の数、②派遣先数、③マージン率、④教育訓練に関する事項について、関係者に情報提供を行わなければなりません(派遣法23条5項)。マージン率とは、派遣料金額の平均額から派遣労働者の賃金額の平均額を控除した額を当該派遣料金額の平均額で除して得た割合です。これらの情報は、派遣労働者に限らず、派遣先が良質な派遣元を適切に選択できるように、派遣会社に提供が求められています(派遣元指針)。その他に提供すべき情報として下記があります(則18条の2)。…

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2024.02.27 【労働安全衛生法】

実施の基準などを教えて リスク評価対象物健診で

キーワード:
  • リスクアセスメント
  • 化学物質管理
Q

 化学物質の自律的管理の一環で、リスクアセスメント対象物を取り扱う労働者に対して行う健康診断が令和4年の法令改正で導入されました。今年4月1日に施行されますが、この健診の概要や実施のタイミングなど教えて下さい。【千葉・F社】

A

ばく露防止対策勘案する 作業に変化あれば再判断

 事業者、労働者、産業医等に対して、基本的な考え方や留意すべき事項を示した「リスクアセスメント対象物健康診断に関するガイドライン」(以下、GL)が策定されています(令5・10・17基発1017第1号)。このGLに基づいて説明します(以下、条文は令和6年4月1日以降の番号)。

1.制度の概要

 リスクアセスメント対象物健康診断とは、事業者による自律的な化学物質管理の一環として行うもので、リスクアセスメントの結果に基づく健康診断です。次の2種類があります。

(1)第3項健診(ばく露による健康障害リスクの高い労働者が対象)

 リスクアセスメント対象物を製造したり取り扱ったりする業務に常時従事する労働者のうち、…

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2024.02.27 【労働基準法】

通知方法の注意点は 労働条件メール等で明示

キーワード:
  • 労働契約関係
  • 労働条件
Q

 従業員の入れ替わりもそれなりにあることから、労働条件通知書を電子化することができないかと考えています。現在は、FAXや電子メール、メッセージアプリで送る方法も認められていると聞いたことがありますが、たとえば送信の方法や労働者の出力環境への配慮など、どのような点に注意することが必要なのでしょうか。【京都・K社】

A

一般的に出力が可能な状態なら

 労働契約の締結時には、労働時間などの労働条件を明示しなければなりません(労基法15条)。その方法は、原則書面です(労基則5条4項)。ただし、労働者から希望があれば、電子メール等による方法も、紙へ記録を出力し書面を作成できるものに限り、認められています。

 電子メール等には、パソコンや携帯電話端末によるもののほか、SNSのメッセージ機能なども含みます(平31・4「改正労働基準法に関するQ&A」)。PDF等を添付する方法を勧めており、…

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