2024年10月配信の人事・労務・安全衛生の労働実務相談Q&A

2024.10.31 【交通事故処理】

借主が休車損害を請求? ノンオペチャージの扱い

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 レンタカーの運転中に、後方から追突される事故に遭い、自走返却不能となりました。レンタカー会社との契約では、車両の修理等が必要となり使用できなくなった場合、5万円のノンオペレーションチャージ、いわゆる休車損害を支払う旨の約定があります。私が、加害車両の運転者に対し5万円を損害として請求したら認められるのでしょうか。【神奈川・M生】

A

休車損害立証する必要 因果関係否定した裁判も

 ノンオペレーションチャージ(以下「NOC」という)とは、レンタカー利用中に生じた事故等によりレンタカー会社が当該車両を使用できないことによる損害について、借受人に過失の有無を問わず賠償責任を義務付け、損害の立証を不要として、その多寡を問わず賠償額の予定を定めるものと解されています。

 NOCは、レンタカー会社と契約を結んだ借受人が、契約に基づいて支払義務を負うものであり、被害者たる借受人が約定に従って支払ったNOC全額について、加害者が賠償義務を負うかが問題になります。

 この点、裁判例(札幌地判令5・1・18)では、…

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2024.10.30 【健康保険法】

試用期間ありいつ加入か パートに1カ月間設ける

キーワード:
  • アルバイト
  • パート
  • 社会保険
Q

 パート・アルバイトに試用期間を設けたいと考えています。基本的には継続して働いてもらうつもりですが、試用期間を1カ月としたときに、社会保険に入るタイミングはいつになるのでしょうか。【和歌山・Y社】

A

使用見込みなら最初から 更新実績等をみて判断

 健康保険の被保険者となることができない人は、法3条で列挙されています。2カ月以内の期間を定めて使用される者であって、その期間を超えて使用されることが見込まれないもの(臨時に使用される者)は、適用を除外するとしています(1項2号ロ)。ただし、被保険者になる場合として、「定めた期間を超え、引き続き使用されるに至った場合」を挙げています。

 使用される見込みの有無が問題になるところ、次のいずれかに該当する場合、原則として、見込みがあると判断されます。すなわち、…

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2024.10.30 【育児・介護休業法】

残業の打診もできないか 介護理由に免除したら

キーワード:
  • 残業
Q

 突発的な受注が増えたため残業を命じることになった部門の従業員から、介護が必要な家族がいるため残業を免除してほしいといわれました。会社は請求を認めると、この間は一切残業させることはできないということなのでしょうか。なお、規定では、残業の免除は、1カ月前までに請求するよう規定していました。【愛知・R社】

A

意向確認すること自体可 法定請求期間は1カ月前

 育児介護を理由とした所定外労働の制限の請求手続き等は、育児介護休業規程等に記載されるべきものです(両立指針)。

 所定外労働の制限(育介法16条の9)は、要介護状態にある対象家族を介護する場合に対象になります。対象家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに父母および子に準ずる者(祖父母、兄弟姉妹および孫)です。要介護状態は、介護保険制度の要介護状態とイコールではありません。いわゆる残業の免除を請求する際は、開始予定日の1カ月前までにしなければならないとしています(2項)。通達(平28・8・2雇児発0802第3号)で、…

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2024.10.29 【労働基準法】

特定の時期どう異なる? 変形制には3種類あるが

キーワード:
  • 労使協定
  • 労働時間関係
  • 変形労働時間制
Q

 1年単位の変形労働時間制において、30日前までの労働時間の決定時に同意を得られないとどうなるでしょうか。また、他の変形制では、いつまでに決めるのがよいですか。【岡山・A社】

A

1年単位なら締結後でも 原則拒否許されない見解

 1カ月変形制(労基法32条の2)では、週平均40時間(法定労働時間)の範囲内で、各日・各週の所定労働時間を定められます。法定労働時間は、商業や接客娯楽業等で常時10人未満の労働者を使用する「特例措置対象事業場」は、44時間とできます。具体的には、変形期間の所定労働時間の合計を、法定労働時間×変形期間の暦日数÷7の範囲内とします。各日・各週の所定労働時間には上限はありません。勤務実態から毎月勤務割を作る必要がある場合は、就業規則で各直勤務の始業終業時刻や各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続きと周知方法等を定めておけば、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りるとしています(昭63・3・14基発150号)。

 1年変形制(法32条の4)でも、最終的には各日等の所定労働時間を特定しますが、…

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2024.10.29 【健康保険法】

傷病手当金は調整か 老齢年金を受給中で

キーワード:
  • 傷病手当金
Q

 67歳の労働者から、休日にケガをし、しばらく療養が必要になったという連絡を受けました。健康保険の被保険者であるため、傷病手当金の支給対象になると思いますが、老齢基礎・厚生年金を受給していて所得補償はある状態です。調整の対象になるのでしょうか。【岐阜・M社】

A

資格喪失後の場合なら対象

 傷病手当金は、療養のため労務不能であるときに支給されます(健保法99条)。退職などで被保険者資格を喪失した後も、喪失時に受給しているなどの要件を満たせば、引き続き支給対象です(法104条)。

 一方で各種調整規定も設けられています(法108条)。老齢基礎・厚生年金などの老齢退職年金給付が受けられる場合、原則、資格喪失後の傷病手当金については支給しないとしています(同条5項、健保令38条)。つまり、ご質問のように在職中の場合は調整なく引き続き支給対象です。

 資格喪失後でも、…

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