交通事故処理

2025.02.14 【交通事故処理】

休業損害請求できるのか 海外渡航前に事故でケガ

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 海外の会社で働くことになり雇用契約を結びました。ところが渡航する前に交通事故に遭い、5カ月間、ケガの治療とリハビリを受けました。無事完治しましたが、この場合、加害者の損害保険会社に対して5カ月間の休業損害や海外のマンションの家賃等、海外の会社が購入してくれた航空チケット代などは請求できるのでしょうか。【茨城・M生】

A

会社の証明書などが必要 雇用契約書のみは不十分

 「請求する」と「支払われる」はイコールではありませんが、相談者がこの交通事故で受けた損害については、支払われるかどうかは別として請求すべきでしょう。

 海外の会社であろうと5カ月間の休業損害は発生しているのですから、損害保険会社に請求できます。ただし、そのためには、海外の会社にその証明書(日本では「休業損害証明書」という)を出してもらう必要があります。例えば「〇〇〔相談者〕は何月何日から何月何日まで5カ月間休業したため(日本円で換算すると)〇〇〇万円支払わなかった」といったような、給料についての損害額が分かる証明書です。単に雇用契約書を提出するだけでは休業損害は支払われず、海外の会社のこのような証明書を提出することが必要です。

 もっとも、証明書があれば必ず支払われるわけではありません。損保会社の対応として、…

回答の続きはこちら
2025.01.30 【交通事故処理】

「将来の夢」賠償に影響? 麻痺や言語障害で後遺症

キーワード:
  • 後遺症
Q

 私の11歳の娘が交通事故にあって、頭をひどく打ち、治療後も、右半身麻痺と言語障害の後遺症が残りました。娘は、学校の成績も良く、将来音楽大学に進んで音楽教師になることを目指していましたが、かなわぬ夢となりました。娘の夢が絶たれたことは、後遺症についての損害賠償請求において斟酌されるのでしょうか。【東京・Y生】

A

可能性の高低を判断 慰謝料増額した例も

 交通事故による後遺症の損害としては、労働能力の喪失により将来得られるはずであった収入の減少(逸失利益)と後遺障害残存に伴う精神的苦痛に対する慰謝料があります。逸失利益は、被害者の職業等を考慮して認定された基礎収入に労働能力喪失率および労働可能年数を乗じた金額から中間利息を控除して算定され、後遺障害による慰謝料は、後遺障害等級を基準に諸事情を考慮して算定されます。

 では、将来の職業について明確な目標があり、目標に向かって努力していた子供が後遺障害を負った場合に、逸失利益の算定に当たって当該職業の平均収入を基準とすることができるのでしょうか。この点、本件と同様の事案で…

回答の続きはこちら
2025.01.14 【交通事故処理】

言われた過失割合なのか 基本パターンを主張され

キーワード:
Q

 四輪車同士の事故です。優先道路と非優先道路の交わる交差点で私の車が優先道路を右折しようとしたところ、相当なスピードで乱暴に非優先道路を走ってきた車にぶつけられ、全治3カ月のケガを負いました。損害保険会社の担当者はその過失割合について「右折車が優先道路から直進車の向かう非優先道路に入る場合の事故の過失割合は70:30」と私に30%の過失があると言います。認めざるを得ないのでしょうか。【三重・Z社】

A

事実関係などよく調べて 認めさせるには困難伴う

 交通事故の過失割合の算定で多く使用されている「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(判例タイムズ社刊)によれば、四輪車同士の事故といっても、事故の状況により過失割合は0:100から20:80、50:50などさまざまです。相談者の場合、損保会社の担当者の主張が正しいとするなら、基本の過失割合は「70:30」で、相談者の過失は30%になります。しかし、この「70:30」は基本の過失割合であり、両方の車が通常の走行をしていたケースが該当します。例えば相手の車が交差点で徐行しなかった場合は過失割合は10%増えて80%になります。逆に相談者の車が徐行していなければその過失は10%増えて40%となります。このほか、両方の車それぞれに「その他の著しい過失」があったときなどパターンにより過失割合は変わります。…

回答の続きはこちら
2024.12.30 【交通事故処理】

内縁の夫へ慰謝料出るか 金額どのように決まる?

キーワード:
  • 慰謝料
  • 損害賠償
Q

 私は、自動車を運転中に対向車線からはみ出してきた大型トラックと衝突し、助手席に座っていた内縁の妻が死亡しました。私は、相手方運転手に対し、内縁の妻を失ったことについての慰謝料を請求したいと考えているのですが、できるでしょうか。また、このような慰謝料の金額はどのようにして決められるのでしょうか。【和歌山・T生】

A

近親者に固有の請求権 相続人いれば額調整

 交通事故の損害賠償においては、人身損害のうち、収入の喪失や治療費などの出費を賠償する財産的損害のほかに事故による死亡や後遺障害および傷害によって発生する精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)が認められます(民法710条)。

 個別の事案における慰謝料の金額は、最終的には裁判官の裁量によって決まりますが、被害者の公平の観点から、実務においては損害の種類、内容によって慰謝料額を類型化した基準が定められています。たとえば…

回答の続きはこちら
2024.11.28 【交通事故処理】

時効期間は延長されるか 等級認定され損賠請求

キーワード:
Q

 4年半前に交通事故に遭い、ケガをしました。その後、症状固定の診断を受け、加害者加入の自賠責保険会社(以下「自賠責」といいます)に対し、後遺障害等級認定のための被害者請求を行いました。なかなか等級認定されませんでしたが異議申立てを経て、先日ようやく等級認定されたため、これから加害者に対して損害賠償請求を行う予定です。事故から相当時間が経過していますが、自賠責への被害者請求を行っていることや、等級認定がなされていることから、時効は気にしなくてもよいでしょうか。【東京・M生】

A

完成猶予や更新されず 自賠責と加害者は別

 交通事故による人身損害についての損害賠償請求権は、基本的には当該事故発生時から5年間で時効により消滅します(民法724条、同条の2)。ただし、後遺障害が認定された場合には、後遺障害による損害(後遺障害慰謝料、逸失利益等)については、症状固定時が時効の起算点となります。

 現時点においては、後遺障害による損害も、…

回答の続きはこちら
もっと見る もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。