『フレックスタイム制』の労働実務相談Q&A

2024.08.09 【労働基準法】

欠勤控除はできるのか? フレックス制を採用時に

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 賃金関係
Q

 清算期間3カ月のフレックスタイム制を採用しています。ある清算期間の最初の月において、コアタイムの開始に始業が間に合わず遅刻となった労働者がいました。その分を欠勤控除し賃金を支払ったところ、「清算期間全体で帳尻を合わせられるのに控除するのはおかしい」と言われました。欠勤控除まではできないものなのでしょうか。【山口・A社】

A

コアタイムの遅刻など可 査定へ反映させることも

 フレックスタイム制は、労働者に始業・終業の時刻の決定を委ねる制度です(労基法32条の3)。導入に際しては、委ねる旨を就業規則へ規定するほか、労使協定の締結も必要です。締結事項は、①対象となる労働者の範囲、②清算期間(最長3カ月)、③清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)、④標準となる1日の労働時間です。任意で、⑤必ず働かなければならないコアタイム、⑥労働者が始業・終業時刻を決められる時間帯を指すフレキシブルタイムを設けることもできます。なお、フレキシブルタイムが極端に短かったり、コアタイムの時間数と④がほぼ一致していたりする場合等は、基本的には労働者に決定を委ねたこととはならないとされています(昭63・1・1基発1号)。

 上述のとおり始業・終業時刻の決定を委ねるため、基本的には遅刻や早退の問題は生じないといえます。1日の標準の労働時間に達しない時間も欠勤となるわけではありません(厚労省「わかりやすい解説&導入の手引き」)。ただし、コアタイムを設けているときは、…

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2024.07.12 【労働基準法】

月の総枠内でも割増賃金必要か フレックス制を採用 週休2日の法定外休日

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 割増賃金
  • 賃金関係
Q

 当社の事務職はフレックスタイム制を採用し、週休2日制です。土曜日に出勤する場合は、月の総労働時間(契約時間)に含めてカウントし、契約時間を超えた時間に時間外の割増賃金を支払っています。所定休日労働の対価として、割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。【京都・E社】

A

総労働時間に算入可能

 フレックスタイム制は、1カ月以内の一定期間の総労働時間(契約時間)を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業・終業の時刻を選択して働くことができる制度です。

 フレックス制の適用者にも労基法35条(休日)の適用があり、…

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2024.04.30 【労働基準法】

別の定めできるか? コアタイムを特定部署に

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 労働時間関係
Q

 当社はフレックスタイム制を導入しており、コアタイムは、適用者全員一律の時間帯としています。一部の部署で、繁忙となる月末に労働者間の連絡調整がうまくいかないことがあり、もう少しコアタイムを伸ばせないかと思います。不利益変更の問題はさておき、特定の部署・期間だけ別の定めをすることは可能なのでしょうか。【長野・W社】

A

労使協定により自由な設定可能

 フレックスタイム制(労基法32条の3)では、任意で、コアタイムとフレキシブルタイムを設定できます。コアタイムの時間帯は、労使協定で自由に決められるとしています(労基法コンメンタール)。設ける日、設けない日を設定したり、日によって異なるものも可能です。コアタイムを分割することもできます。

 このため、部署や時期により異なるコアタイムを適用することも可能といえます。…

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2024.03.27 【労働基準法】

実労働時間は引き継ぐか 清算期間途中の異動なら

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 労働時間関係
Q

 育休中の従業員が来月復職予定でしたが、保育園の関係で育休延長となりました。隣の県の事業場の者を異動させようと検討中です。そちらも当事業場も清算期間が3カ月のフレックスタイム制ですが、清算期間途中の異動の場合、実労働時間は通算しますか。【石川・O社】

A

事業場ごとに途中清算を 適用日数で法定総枠求める

 フレックスタイム制は、始業および終業の時刻を労働者の決定に委ねる制度です(労基法32条の3)。導入には労使協定の締結が必要で、清算期間(労働者が労働すべき時間を定める期間)などを規定します。清算期間は3カ月以内です。

 労基法上、時間外労働となるのは、清算期間において、①実労働時間が法定労働時間の総枠(週平均40時間)を超えた部分です。これは清算期間終了月の時間外労働と扱われます。清算期間が1カ月超のときは、…

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2024.03.12 【労働基準法】

フレックスだがどう通算 副業先は通常どおりなら

キーワード:
  • フレックスタイム制
  • 副業・兼業
  • 賃金関係
Q

 求人を出したところ、すでに別の会社で働いているという人から応募があり、能力的にはぴったりです。当社は変形労働時間制などではなく、通常どおりの労働時間制ですが、向こうはフレックスタイム制といいます。労働時間の通算はどのように考えますか。【神奈川・S社】

A

法定の総枠と仮定をする カウントする順番異なる

 以下、時系列的に先に労働者と労働契約を締結した使用者をA、後をBとします。最初に、AもBも通常の労働時間制の場合を説明します。通算の考え方は、最初にAの所定労働時間、Bの所定労働時間の順で通算し、次にA・Bの所定外労働時間を発生した順番に足していきます。法定労働時間を超過した部分のうち、自らの事業場で発生した部分が割増賃金の対象となります(厚労省「副業・兼業ガイドライン」)。

 続いて、Aでフレックスタイム制の適用を受けており、Bが通常の労働時間制のパターンです。Aにおいて所定労働時間のような「固定的な労働時間」が定まっておらず、…

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