『事業場外みなし労働時間制』の労働実務相談Q&A

2024.05.17 【労働基準法】

内勤あってもみなし可能か 一部事業場外の取扱い 労働時間をどう計算する

キーワード:
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 労働時間関係
Q

 事業場外みなし労働時間制の適用をめぐる判決のニュースをみました。外勤で直行してその後内勤を行う場合には、そもそも制度の対象となり得るのでしょうか。外勤と内勤が混在する場合のみなし労働時間数は、どのように算出すれば良いですか。【大阪・Y社】

A

合算して割増賃金発生も

 行政解釈(昭63・1・1基発1号)では、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、指示どおりに業務に従事してその後事業場にもどる場合については、みなし制の適用はないとしています。この場合においては、事前に具体的な指示を受けたかどうかで判断するとしていて、直行する場合にみなし制の適用がないわけではありません。東京労働局のリーフレットでも、直行型の外勤を行い、その後内勤を行う場合について、みなし制の適用を前提にした労働時間の算定例を示しています。

 労働時間の一部が事業場外労働である場合の基本的な算定方法ですが、…

回答の続きはこちら
2022.08.29 【労働基準法】

労働時間はどうカウント 一部事業場内で労働あり

キーワード:
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 休憩・休日関係
Q

 組織の見直しに伴い、外勤が多い一部従業員に対し、労使協定を締結するタイプの事業場外みなし労働時間制を適用できないか検討中です。終日外勤の日は週に3日程度の予定で、残りは、午前に社内での会議が入るなど外勤と内勤両方を行うことになります。労働時間の考え方を教えてください。【大阪・R社】

A

所定超えるかがポイント 別途把握の内勤と合計で

 事業場外みなし労働時間制は、事業場外で従事した業務について労働時間を算定し難い場合に、特定の時間労働したとみなすものです(労基法38条の2)。特定の時間の決め方は、原則は所定労働時間です。ただし、対象となる業務の遂行に、通常の所定労働時間を超えて労働することが必要な場合は、その通常必要とされる労働時間(「通常必要時間」)か、労使協定を締結して定めた通常必要時間のどちらかとすることもできます。…

回答の続きはこちら
2022.02.04 【労働基準法】

歩合給の割賃どうなる みなし制を併用時 所定を9時間としたら

キーワード:
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 割増賃金
  • 歩合給
  • 賃金関係
Q

 当社では、モバイル勤務の営業社員に対し、事業場外労働みなし制と歩合給制を適用しています。労組から「みなし労働時間数(現在は、所定労働時間働いたとみなす)の見直し」の要求があり、会社としても、実態に照らし適正な数字に修正する意向です。仮に、1日9時間労働等と協定をした場合、割増賃金の支払いが必要になりますが、歩合給はどのような扱いになるのでしょうか。【高知・B社】

A

1日当たり金額は変動

 事業場外労働みなし制は、「所定労働時間労働したものとみなす」のが基本です(労基法38条の2)。しかし、所定労働時間を超えて働く必要がある場合、

① 必要とされる時間をみなし労働時間とする(同条1項ただし書き)
② 労使協定でみなし労働時間を定める(2項)

 という2つの対応があります。

 「常態として事業場外労働を行っている」モバイル社員等については、…

回答の続きはこちら
2022.01.11 【労働基準法】

残業申告分を却下できる? 仕事が遅く長時間 一般従業員基準にしたい

キーワード:
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 労働時間関係
Q

 中途採用で従業員を採用しました。性格は几帳面ですが、仕事が遅いのが難点です。そのうち慣れるだろうと我慢していても、改善の兆しがみられず、毎月、長時間の残業を申告してきます。申告分の一部を却下したいのですが、残業代不払いでトラブルに発展するのも困ります。一般従業員の「平均的な処理時間」を基準として、調整するような方法は認められないのでしょうか。【宮崎・Y社】

A

人事考課での対応検討

 使用者は、労働時間を適正に把握し、賃金台帳を調製する義務を負います(労基法108条)。ここでいう労働時間は、通常、安衛法66条の8の3(労働時間の状況の把握)により把握された労働時間数と同じです。

 例外として、みなし制の適用者が挙げられます。たとえば、事業場外労働みなし労働時間制(労基法38条の2)の適用者についても、安衛法に基づき「状況の把握」が必要(平30・12・28基発16号)ですが、賃金台帳には「みなし労働時間」に基づき記載すれば足ります。みなし労働時間は、「業務の遂行に通常必要とされる時間」を基準として定めます。

 こうした例外に該当しない場合、…

回答の続きはこちら
2021.07.26 【労働基準法】

どちらのみなし時間制? 専門型と事業場外 テレワークで両方対象に

キーワード:
  • テレワーク
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 健康福祉確保措置
  • 労働時間関係
  • 裁量労働制
Q

 テレワークの対象者が増え、常態化していく中で、管理体制の再編・一元化を検討しています。経営層は、現在の雇用管理の在り方に関係なく、常態的なテレワーク従事者には「一律に」事業場外労働みなしを適用するという対応を考えているようです。対象者の中には、一部、専門業務型裁量労働制の従事者も含まれますが、事業場外労働みなしという扱いで良いのでしょうか。【東京・C社】

A

健康福祉確保考慮し前者

 事業場外で働き、労働時間を算定し難いときは、事業場外労働みなし制の対象となります(労基法38条の2)。業務の性質上、その遂行の方法を労働者の裁量にゆだねる必要があるとき、所定の手続きを採り、専門業務型裁量労働制を適用できます(38条の3)。

 ご質問は、テレワークが双方の条件を満たす場合、どちらの仕組みを優先して用いるかという問題です。…

回答の続きはこちら
もっと見る もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。