『労災保険法』の労働実務相談Q&A

2019.12.03

待期期間どう考える 管理職で欠勤控除なし

キーワード:
  • 労災保険法
Q

 当社の管理職が、所定労働時間中にケガをして病院に行きました。翌日からは休業に入っていますが、管理職ですので、休職発令が出るまで欠勤控除なしです。この場合の待期期間の考え方についてお尋ねしたいのですが、賃金がストップして3日経過して、初めて休業補償給付の請求が可能になるのでしょうか。【秋田・K社】

A

満額支払い でも休業日

 労災保険の休業補償給付は、「業務上の傷病による療養のため労働不能で賃金を受けない日の第4日目」から支給されます(労災法14条)。一部労働不能で、「平均賃金と実労働時間に対して支払われる賃金との差額の60%未満しか受けない日」も休業1日とカウントします(昭47・7・31基災発14号)。

 通常であれば、…

回答の続きはこちら
2019.11.26

石綿原因で肺がん発症か 退職後に家族が保険請求

キーワード:
  • 労災保険法
Q

 先日、以前わが社に勤務していた従業員のご家族が訪ねてこられ、元従業員が肺がんで亡くなられたこと、建築物解体工事などの石綿作業に従事していたと聞いていたので石綿が原因での肺がんなのではないかと思うので、労災請求をしたいとのことでした。石綿関連疾患の労災認定について教えてください。【兵庫・S社】

A

ばく露1年以上など要件 時効消滅でも救済法あり

 現在雇用されている方や過去に雇用されていた方が、業務上の事由で石綿を吸入して、それが原因で石綿に関連した疾病にかかったり、亡くなられた場合に、業務災害として労基準監督署長から認定を受ければ、労災保険の給付を受けられます。

1 石綿と石綿関連疾患について

 石綿は耐熱性等の性質が優れていることから、防火、耐熱、絶縁の素材として広範囲に使用されてきましたが、一方で石綿にばく露する(石綿が浮遊する環境にさらされる)ことによって中皮腫、肺がんなどの石綿関連疾患を発症するおそれがあることが知られています。

 中皮腫や肺がんをはじめとする石綿による健康被害は、…

回答の続きはこちら
2019.10.29

軽作業でも不支給? 休業から復帰したら

キーワード:
  • 労災保険法
Q

 労災によって休業したときですが、一部労働をしても保険給付として差額が支給されるケースがあると聞いたことがあります。一方で、軽作業でもいったん復帰したならば、その後、休業補償給付は受けられないという人がいます。休業と労働の関係について、どのように考えるのが良いのでしょうか。【埼玉・B社】

A

通院日など引続き対象

 休業補償給付は、労働することができないために賃金を受けないことが条件です(労災法14条)。労働することができないとは、…

回答の続きはこちら
2019.08.27

的確な業務上判断可能か 在宅勤務中に生じた災害

キーワード:
  • 労災保険法
Q

 当社では、「在宅勤務制度」の導入を予定しております。導入に際して、在宅で勤務している最中に事故などで災害が生じた場合について、はたして業務が原因だったのか、私的行為が原因であったのかの判別が難しい状況が出てくるのではないかと懸念しています。制度導入に当たっての留意点、災害が発生した場合における労災認定について教えてください。【東京・T社】

A

見取り図等で「職場」把握 対象業務の明確化も重要

 在宅勤務中に発生した災害についても、業務遂行性と業務起因性が認められれば労災保険給付の対象となります。

 当然ながら、洗濯物を取り込む際にベランダの段差で転倒した場合などは業務災害とは認められません。

 企業としては、在宅勤務者の業務内容、業務遂行方法の明確な取決めと併せて、自宅見取り図を提出させて作業場所の特定や、災害発生時の報告書面(見取り図上で災害発生場所を示す)等の工夫が求められます。

 「テレワーク」といった場合、「サテライトオフィス勤務」や「モバイルワーク」もありますが、ここでは「自宅勤務(在宅勤務)」を想定して説明させていただきます。

1.在宅勤務者への労働関係法令の適用

 在宅勤務を行う者が労働基準法上の「労働者」に該当する場合、労基法や労災法などが適用されます。

 労災法での保険給付の対象となる「業務災害」とは、…

回答の続きはこちら
2019.08.09

認定等に関する注意点は 労災補償業務の留意事項

キーワード:
  • 労災保険法
Q

 厚生労働省大臣官房審議官から、各都道府県労働局長に「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」が毎年示されるようですが、本年2月に出された内容で、注目すべき点はどういったものがあるでしょうか。ご教示ください。【山梨・O社】

A

過労死事案は適切に調査 外国人へ「制度周知」を

 「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について(平31・2・21労災発0219第1号)」では、主に5つが示されています。

 以下に概略を解説します。

第1 労災補償行政を巡る状況への対応

 労災補償行政を巡る状況は、ここ数年の過労死等に係る労災請求件数が2500件以上に上り、石綿関連疾患に係る労災請求件数も1100件以上に上るなど、多くの複雑困難事案の処理を求められている状況にあります。

 とりわけ、過労死等の発生を防止するための取組強化に対する社会的要請は強まっており、長時間労働の是正を大きな柱として、「働き方改革」に労働基準行政として的確に対応することが求められているなか、…

回答の続きはこちら
もっと見る もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。