『年次有給休暇』の労働実務相談Q&A

2025.02.12 【労働基準法】

年休は取得できるのか? 何らか給付ある場合等も

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Q

 労務関係の部署に配属され、年次有給休暇について改めて確認中です。業務上の負傷や妊娠など、労働者が働けなくなり何らかの給付が受けられる際、年休は取得できるのでしょうか。制約などはありますか。【滋賀・S社】

A

労働義務が存在すれば可 待期期間のカウント対象

 労基法39条の年次有給休暇は、賃金の減収を伴うことなく労働義務の免除を受けるものです。休日など労働義務の課されていない日については、取得する余地がないとされています。同条が「10労働日」という文言を使用しているのも、このような立法趣旨からであると解されるとしています(労基法コンメンタール)。

 例えば、私傷病などで休職を発令され、会社に籍があるが労働義務がない場合、年休を取得できないとしています(昭24・12・28基発1456号など)。一方、休職を発令されておらず、本来は労働義務があるが欠勤等となっているときは、…

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2025.01.24 【労働基準法】

私傷病休職あり出勤率計算は? 年休付与には8割必要 所定労働日に休んだ形

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  • 休憩・休日関係
  • 年次有給休暇
Q

 まもなく年次有給休暇の付与基準日が到来しますが、過去1年間に私傷病休職期間が含まれている従業員がいます。当社ではこれまで欠勤と同じように処理してきました。出勤率が8割を下回ると復帰後年休を取得できず、本人に支障が出ることも想定されます。どのように対応すべきでしょうか。【北海道・I社】

A

病気欠勤中と同じ扱いも

 年次有給休暇について定めた労基法39条は、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、年休を与えなければならないと規定しています。

 出勤率の計算に当たって、計算の分母となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日です(昭23・11・13基発90号、昭63・3・14基発150号)。したがって、雇用形態や職種等によって日数が異なることもあり得ます。

 所定労働日であれば分母に算入し、…

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2025.01.21 【労働基準法】

年休は何日請求可? 退職の後に計画付与日

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  • 年次有給休暇
  • 計画的付与
Q

 年休取得率向上のため、昨年から、全従業員対象の計画的付与を実施しています。従業員が退職することになり年休消化に入りますが、退職後の日付であと2日、計画的付与の対象となった日があります。この分の年休は退職前に請求できないのでしょうか。【山形・T社】

A

対象とならず含めた残日数

 年次有給休暇の計画的付与は、労使協定の締結により、あらかじめ年休取得日を決めておく制度です(労基法39条6項)。対象となった年休について、解釈例規では、5項に基づく労働者の時季指定権と使用者の時季変更権はともに行使できないとしています(昭63・3・14基発150号)。

 計画付与日の前に退職する場合は、…

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2025.01.13 【労働保険徴収法】

消滅した休暇買上げは? 「労働保険」上の賃金

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  • 賃金
Q

 当社では法定の年次有給休暇に日数を上乗せしています。消化できなかった上乗せ部分に金銭を支払うと、雇用保険や労災保険の保険料計算において、賃金に当たるのでしょうか。【長野・T社】

A

規定で義務付けあれば 積立制度を採用例も

 法定の年次有給休暇とは別に休暇を付与するときには、法定部分と付与する時期や取得時の賃金等の取扱いが異なることがあるため、それぞれ別々に規定すべきです。一体の規定では、法定部分とそれ以外の「色分け」ができません。

 法定の年休についても、結果的に未消化となった部分に手当を支給することは違法ではないと解されています(菅野和夫・山川隆一「労働法」)。なお、時効により消滅した部分を積み立てて、私傷病やリフレッシュ休暇など別の形で与えている会社もあります。令和6年3月のJILPT「治療と仕事の両立に関する実態調査(企業調査)」によれば、…

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2024.12.06 【労働基準法】

計画的付与は1日単位のみか 個人別方式を採用 勤務割柔軟に決めたい

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  • 休憩・休日関係
  • 年休の計画的付与
  • 年次有給休暇
Q

 繁忙期等に各人の負担が偏らないように、休みをうまく割り振ることができないか考えています。年休の計画的付与について個人別で付与する仕組みがありますが、1日単位のほか半日や時間単位を組み合わせることもできるのでしょうか。【福島・O社】

A

時間単位認められない

 年次有給休暇は、労働者が自ら取得する時季を決めて請求するのが原則ですが、労使協定であらかじめ取得の計画を決めて付与することができます(労基法39条6項)。年5日を超える部分が対象となり、前年度繰越分の年休も含めて付与することが可能です(昭63・3・14基発150号)。

 年休について定めた労基法39条では、10労働日という文言を使用し労働日単位を表しています。労働者が半日単位で請求しても、使用者は応じる義務はありません(前掲通達)。ただし、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、…

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