『年次有給休暇』の労働実務相談Q&A

2024.10.18 【労働基準法】

本人以外が年休請求したら? 病気欠勤時の取扱い 事後振替を規定化検討

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  • 休憩・休日関係
  • 年次有給休暇
Q

 当社では、急な病気欠勤となったような場合に、年次有給休暇を充てることを認めています。労働者本人から病気で休むという連絡があれば年休に振り替えてきました。本人が連絡できないとき、適法な年休の請求といえるのでしょうか。振替に関する規定がないため、整備が必要と考えています。【京都・O社】

A

代理行使等認める解釈も

 年次有給休暇は、労働日を単位として付与されます。労基法39条の労働日は、原則として暦日計算によるべきものと解されています。すなわち、午前0時から午後12時までの24時間をもって1労働日の休暇となります。当日に入ってからの年休の請求は、適法な時季指定とはいえません。休暇当日の朝の年休の請求は、事後の請求となりますが、認めている会社も少なくないでしょう。

 労基法の年休の時季指定権の行使は、誰が、いつ、年休を取得するかの意思を通知すれば足り、相手方(会社)の承諾も必要ないというのが通説です。すなわち、…

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2024.08.27 【労働基準法】

買上げに応じてもよいか 年休時効消滅分を埋合せ

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  • 年休
  • 年次有給休暇
Q

 労働者から、繁忙につき消滅時効にかかる年次有給休暇について埋め合わせが欲しいとありました。買上げなどに応じてもよいのでしょうか。【岩手・E社】

A

好ましくない措置の扱い 退職など事由があるなら

 年次有給休暇の法的効果は、所定労働日における労働義務の消滅とされています。また、労基法39条5項は、年休を労働者の請求する時季に「与えなければならない」という規定です。このため、現実に所定労働日に休業せず、代わりに金銭を支給する場合は、年休を与えたことにはなりません(労基法コンメンタール)。解釈例規(昭30・11・30基収4718号)でも、年休の買上げを予約して請求可能な年休の日数を減少させたり与えなかったりすることは労基法39条に違反するとしています。都道府県労働局の資料には、「在職中に従業員から消滅となる年休の買い取りを求められても、労働基準法ではそれを認めてはいません」と強い書き方をしているものもあります(東京労働局「素朴な疑問Q&A」)。

 一方、前掲コンメンタールは、…

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2024.07.09 【労働基準法】

半日と時間単位どう違う 取得時における扱いなど

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  • 年次有給休暇
Q

 労働者から半日年休や時間単位年休を導入してほしいと話がありました。前向きに検討していますが、改めて、両者の制度の基本的な部分や、取得時の取扱いなどを確認できたらと思います。例えば、年5日の時季指定義務において違いはあるのでしょうか。【福井・N社】

A

前者は年5日へカウント 使用者の時期指定義務で

 年次有給休暇の付与は「労働日」を単位としており、原則、暦日によるとされています(労基法コンメンタール)。一方で、半日年休や時間単位年休も認めています。

 半日年休は、暦日基準から、労働者が請求しても応じる義務はない(昭24・7・7基収1428号)としつつも、労働者が希望し、使用者が同意した場合には付与可能ともしています(平30・9・7基発0907第1号)。次に時間単位年休は、労基法39条4項に規定があります。導入には労使協定の締結が必要で(届出不要)、時間単位とできるのは年5日分までです。

 付与の単位に関して、半日年休における半日の定義は、前掲コンメンタールなどでもはっきりとは示されてはいません。なお、…

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2024.06.27 【女性活躍推進法】

年休の取得率をどう算出 基準あれば知りたい

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  • 年次有給休暇
Q

 年次有給休暇の取得率に関する社内データをまとめています。データの取り方として何か基準となるルールはないでしょうか。年休取得率といえば厚生労働省の統計が示されていますが、参考になるものがあれば教えてください。【和歌山・F社】

A

分子は繰越日数問わず 状況把握や情報公表時

 年休の付与に関する労基法の説明は割愛しますが、付与された日数のうち時効消滅しない部分は繰り越されるため、消化した日数は前年に付与されたものであることが一般的です。

 年休の取得状況に関する公的な統計といえば、厚生労働省「就労条件総合調査」や中労委「賃金事情等総合調査」があります。前者の調査で、…

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2024.05.31 【労働基準法】

時季指定した年休どうなる 本人がまとめて取得意向 請求可能な日数何日に?

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  • 休憩・休日関係
  • 年次有給休暇
Q

 年次有給休暇の取得日数が少ない従業員がいて、本人は仕事が一段落したらまとめて消化する予定といいます。ただ、会社としては、年休の取得を本人任せにするわけにもいきません。会社が時季指定した後に本人がまとめて消化したいというときに、請求できるのは時季指定の日数を除いた日数になるのでしょうか。【山形・K社】

A

原則は休暇日の扱いに

 使用者が時季指定を行うタイミングとして、年休の付与基準日から半年などとしたものがあります(厚労省パンフレット)。個々の労働者の年休取得の実績や時季指定の意向等を勘案しつつ、中間的に適当な時期に時季指定する実務が妥当として、例として同じく基準日から6カ月経過後のタイミングを挙げるもの(注釈労働基準法)があります。

 パンフレットでは、4月に10日付与して、半年経過後の段階で2日しか取得しておらず追加で請求もしていないケースについて、残り半年間で使用者が3日分を時季指定する例を紹介しています。

 時季指定後、労働者本人から残った年休をまとめて取りたいといわれたときに、残った5日分しか請求できないのか、それとも…

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