『損害賠償』の労働実務相談Q&A

NEW2025.02.28 【交通事故処理】

聴覚障害あり逸失利益は 年少者の収入をどう算定

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 聴覚障害のある11歳の娘が交通事故に遭い亡くなりました。加害者に対して、娘が生きていれば得られたはずの収入について、どのような請求ができるでしょうか。【神奈川・I生】

A

減額する理由なしと判決 労働能力の制限を認めず

 交通事故の被害者が加害者に対して請求する損害には、治療費や慰謝料のほかに、被害者が事故に遭わなければ得られたはずの利益、すなわち逸失利益が挙げられます。

 死亡事故における逸失利益は、事故当時に現に得ていた収入を基準に、67歳まで働く場合を想定した稼働期間を乗じて求められます(ただし、その間の生活に要する費用は控除されます)。

 年少者などの未就労の方が亡くなった場合には、通常、…

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2025.02.14 【交通事故処理】

休業損害請求できるのか 海外渡航前に事故でケガ

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 海外の会社で働くことになり雇用契約を結びました。ところが渡航する前に交通事故に遭い、5カ月間、ケガの治療とリハビリを受けました。無事完治しましたが、この場合、加害者の損害保険会社に対して5カ月間の休業損害や海外のマンションの家賃等、海外の会社が購入してくれた航空チケット代などは請求できるのでしょうか。【茨城・M生】

A

会社の証明書などが必要 雇用契約書のみは不十分

 「請求する」と「支払われる」はイコールではありませんが、相談者がこの交通事故で受けた損害については、支払われるかどうかは別として請求すべきでしょう。

 海外の会社であろうと5カ月間の休業損害は発生しているのですから、損害保険会社に請求できます。ただし、そのためには、海外の会社にその証明書(日本では「休業損害証明書」という)を出してもらう必要があります。例えば「〇〇〔相談者〕は何月何日から何月何日まで5カ月間休業したため(日本円で換算すると)〇〇〇万円支払わなかった」といったような、給料についての損害額が分かる証明書です。単に雇用契約書を提出するだけでは休業損害は支払われず、海外の会社のこのような証明書を提出することが必要です。

 もっとも、証明書があれば必ず支払われるわけではありません。損保会社の対応として、…

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2024.12.30 【交通事故処理】

内縁の夫へ慰謝料出るか 金額どのように決まる?

キーワード:
  • 慰謝料
  • 損害賠償
Q

 私は、自動車を運転中に対向車線からはみ出してきた大型トラックと衝突し、助手席に座っていた内縁の妻が死亡しました。私は、相手方運転手に対し、内縁の妻を失ったことについての慰謝料を請求したいと考えているのですが、できるでしょうか。また、このような慰謝料の金額はどのようにして決められるのでしょうか。【和歌山・T生】

A

近親者に固有の請求権 相続人いれば額調整

 交通事故の損害賠償においては、人身損害のうち、収入の喪失や治療費などの出費を賠償する財産的損害のほかに事故による死亡や後遺障害および傷害によって発生する精神的苦痛に対する損害賠償(慰謝料)が認められます(民法710条)。

 個別の事案における慰謝料の金額は、最終的には裁判官の裁量によって決まりますが、被害者の公平の観点から、実務においては損害の種類、内容によって慰謝料額を類型化した基準が定められています。たとえば…

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2024.10.31 【交通事故処理】

借主が休車損害を請求? ノンオペチャージの扱い

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 レンタカーの運転中に、後方から追突される事故に遭い、自走返却不能となりました。レンタカー会社との契約では、車両の修理等が必要となり使用できなくなった場合、5万円のノンオペレーションチャージ、いわゆる休車損害を支払う旨の約定があります。私が、加害車両の運転者に対し5万円を損害として請求したら認められるのでしょうか。【神奈川・M生】

A

休車損害立証する必要 因果関係否定した裁判も

 ノンオペレーションチャージ(以下「NOC」という)とは、レンタカー利用中に生じた事故等によりレンタカー会社が当該車両を使用できないことによる損害について、借受人に過失の有無を問わず賠償責任を義務付け、損害の立証を不要として、その多寡を問わず賠償額の予定を定めるものと解されています。

 NOCは、レンタカー会社と契約を結んだ借受人が、契約に基づいて支払義務を負うものであり、被害者たる借受人が約定に従って支払ったNOC全額について、加害者が賠償義務を負うかが問題になります。

 この点、裁判例(札幌地判令5・1・18)では、…

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2024.10.12 【交通事故処理】

代車費用支払われない? 約3カ月後通告を受ける

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 3月末、乗用車を運転中にトラックに追突され、乗用車は使用が難しくなりました。そこで車通勤が必須のためにレンタカーで代車を使用していたところ、7月中旬になって保険会社は、「5月末までの分しか代車費用は支払わない」といってきました。代車の使用は期限を決めずに認められていたはずなのですが、どうしたらよいでしょうか。【高知・T生】

A

新車購入で30日以内など 話し合い説得する必要が

 代車とは「自分の自動車が修理や車検中などで使用できないとき、代りに使う車」をいいます。交通事故に遭うと、損害を受けた事故車が修理可能な場合には修理する間、また全損なら買い換えるまでの間、被害者はその車を使用することはできません。こうした場合、被害者に代車を使用する必要性・相当性が認められれば、修理相当期間・買換え相当期間について、代車費用が損害として認められます。加害者は「代車使用料」の損害を賠償する義務を負っています。

 相談者のケースでは、代車費用については通勤には車が必須ということで認められます。しかし、いつまでも無限ということではなく、…

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