『歩合給』の労働実務相談Q&A

2024.06.26 【労働基準法】

保障給はいくら必要か? 歩合給を採用する場合に

キーワード:
  • 歩合給
  • 賃金関係
Q

 賃金制度の見直しを進めており、歩合給部分の大きい体系にできないかと考えています。歩合給には最低保障のようなものが必要と聞いたのですが、いくら必要になるなど決まっているのでしょうか。【福岡・M社】

A

平均賃金の60%と目安が 労基法上定められてない

 労基法では、例えば歩合給など、出来高払制その他の請負制で使用される労働者の賃金について、労働時間に応じた一定の保障給の支払いが必要とする規定を設けています(法27条)。

 この保障給は、労働時間に応じた一定額のものでなければならないとしており、時間給が原則です。なお、月や週など一定期間について保障給を定める場合でも、基準となる労働時間数(通常は一定期間における所定労働時間)を定め、実労働時間が上回ったときに時間に応じて増額される場合は、保障給に該当するとしています。

 保障給の額は、労基法には規定がないものの、…

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2023.05.30 【最低賃金法】

歩合給と最賃の関係は? 基本給のみ考慮足りるか

キーワード:
  • 歩合給
Q

 当社の営業社員は基本給プラス歩合給の賃金体系となっています。基本給部分で最賃をクリアしてして、歩合給に関して特段気にすることはありませんでした。歩合給は最賃の計算においてどのように考慮されるのでしょうか。【大阪・O社】

A

月総労働時間で単価算出 割増賃金部分は除いて

 最低賃金と比較するには賃金を時間当たりの金額に換算します(最賃法4条、最賃則2条)。月給は、その金額を月の所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1カ月平均所定労働時間数)で除した金額などと定められています。

 最賃則2条5号が歩合給に関する規定です。すなわち、「出来高払制その他の請負制によって定められた賃金については、…

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2023.01.27 【労働基準法】

賃金に支給日在籍要件? 退職したら歩合給なし 賞与の考え方当てはめる

キーワード:
  • 歩合給
  • 賃金関係
  • 賞与
Q

 賞与に「支給日在籍要件」を設けて、退職した従業員には支払ってきませんでした。一方、月々の賃金で在職中に未払い分があれば、退職後であっても支払うべきという話になりそうです。仮に歩合給に関して、賞与と同様の「支給日在籍要件」を定めていたら有効といえるのでしょうか。【大阪・T社】

A

全額払抵触する危険が

 歩合給の支給対象者を「支給日当日に在籍している者」としていた会社が、元従業員に対して歩合給の返還を求めた事案(東京地判令元・9・27)があります。当該事案において、在籍要件を歩合給の支給条件とすることに合理的理由は見出し難いとしています。歩合給を支払うか否か、その支払額をいくらとするかが原告(会社)の広範な裁量判断に委ねられているとは解し難く、歩合給は、いわゆる任意的恩恵的給付ということはできないとしました。労働の対償としての賃金に当たるという結論となっています。…

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2022.12.02 【労働基準法】

歩合制で年休賃金どう計算 当月支払額が未確定 所定労働時間の額採用

キーワード:
  • 年次有給休暇
  • 歩合給
  • 賃金関係
Q

 当社では、年次有給休暇の賃金をいわゆる通常の賃金としています。歩合給の扱いはこれまでうやむやでした。賃金締切日との関係で金額が確定していませんが、確定後の金額を用いるのでしょうか。【北海道・T社】

A

締切日からさかのぼる

 年次有給休暇の賃金は3パターンありますが、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」を採用しているケースは少なくないでしょう。ただ、ここでいう通常の賃金に何を含むかは難しい問題です。臨時に支払われた賃金、割増賃金のごとく所定時間外の労働に対して支払われる賃金等は、算入しないと解されていますが、個別具体的な手当について示しているわけではありません。休みの日は作業に従事していないなどとして一部手当をカットすると問題になることもあります。…

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2022.02.04 【労働基準法】

歩合給の割賃どうなる みなし制を併用時 所定を9時間としたら

キーワード:
  • 事業場外みなし労働時間制
  • 割増賃金
  • 歩合給
  • 賃金関係
Q

 当社では、モバイル勤務の営業社員に対し、事業場外労働みなし制と歩合給制を適用しています。労組から「みなし労働時間数(現在は、所定労働時間働いたとみなす)の見直し」の要求があり、会社としても、実態に照らし適正な数字に修正する意向です。仮に、1日9時間労働等と協定をした場合、割増賃金の支払いが必要になりますが、歩合給はどのような扱いになるのでしょうか。【高知・B社】

A

1日当たり金額は変動

 事業場外労働みなし制は、「所定労働時間労働したものとみなす」のが基本です(労基法38条の2)。しかし、所定労働時間を超えて働く必要がある場合、

① 必要とされる時間をみなし労働時間とする(同条1項ただし書き)
② 労使協定でみなし労働時間を定める(2項)

 という2つの対応があります。

 「常態として事業場外労働を行っている」モバイル社員等については、…

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