『労働時間関係』の労働実務相談Q&A

2024.10.29 【労働基準法】

特定の時期どう異なる? 変形制には3種類あるが

キーワード:
  • 労使協定
  • 労働時間関係
  • 変形労働時間制
Q

 1年単位の変形労働時間制において、30日前までの労働時間の決定時に同意を得られないとどうなるでしょうか。また、他の変形制では、いつまでに決めるのがよいですか。【岡山・A社】

A

1年単位なら締結後でも 原則拒否許されない見解

 1カ月変形制(労基法32条の2)では、週平均40時間(法定労働時間)の範囲内で、各日・各週の所定労働時間を定められます。法定労働時間は、商業や接客娯楽業等で常時10人未満の労働者を使用する「特例措置対象事業場」は、44時間とできます。具体的には、変形期間の所定労働時間の合計を、法定労働時間×変形期間の暦日数÷7の範囲内とします。各日・各週の所定労働時間には上限はありません。勤務実態から毎月勤務割を作る必要がある場合は、就業規則で各直勤務の始業終業時刻や各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続きと周知方法等を定めておけば、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りるとしています(昭63・3・14基発150号)。

 1年変形制(法32条の4)でも、最終的には各日等の所定労働時間を特定しますが、…

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2024.10.25 【労働基準法】

中抜けの取扱いをどうする 追加で休憩時間に? 穴埋め命じたら残業か

キーワード:
  • 休憩
  • 労働時間関係
Q

 当社の従業員が、プライベートな理由で、休憩時間とは別にいわゆる「中抜け」をしていました。休憩時間を追加で付与したものとして処理しています。その分働いて穴埋めをするようにと伝えたところ、残業となるのか聞かれました。終業時刻を超える労働については、残業と扱うことになるのでしょうか。【群馬・E社】

A

終業時刻のみ繰下げ可

 テレワークのとき等で休憩時間以外に業務から離れる時間を、中抜け時間として規定することがあります。中抜けの全部または一部を追加の休憩時間と扱うことも可能です。

 労働時間の途中で休憩時間が増えたとしても、終業時刻が当然にずれるわけではありません。始業終業時刻は、就業規則の記載事項です(労基法89条1号)。「所定労働時間の長さと位置」を明確にするために規定が求められています(労基法コンメンタール)。終業時刻後の労働は所定外労働、すなわち残業です。始業終業時刻を変更するためには、たとえば、始業終業時刻を繰り上げまたは繰り下げる方法があります。一般的な規定では、始業終業時刻の繰上げや繰下げをセットで行い、1日の所定労働時間数を維持していることが多いでしょう。なお、…

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2024.10.11 【最低賃金法】

賃金支払日に最賃判断? 10月またぐ計算期間 月給制で時間単価算出

キーワード:
  • 割増賃金
  • 労働時間関係
  • 賃金
Q

 当社の正社員の賃金は、20日締めの当月末日払いです。10月に支払う賃金は、前月9月21日から翌10月20日までの賃金ということになります。10月に最低賃金が引き上げられましたが、その計算に関して、支払日ベースでみて、10月に支払う分は新しい最低賃金を反映したものとする必要があるのでしょうか。【京都・O社】

A

発効日から見直しが必要

 京都府の最低賃金は、令和6年10月1日から、時間額1058円へと引き上げられました(50円の引上げ)。

 月給制の例で最低賃金を上回っているかどうかを考えてみます。月給を時給に換算する方法は、月給を年間における月平均所定労働時間で除して割り出します(最賃則2条1項3号)。割増賃金の時間単価をイメージすれば分かりやすいでしょう。ものの本でも、1時間当たりの金額の計算方法は、労基法37条の割増賃金における換算方法(労基則19条)と同じ考え方であると述べたものがあります。

 計算の分子となる月給額からは、割増賃金等を除いて計算します(最賃法4条3項)。最賃則1条で、…

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2024.10.10 【労働基準法】

どこまで労働時間なのか 集合し乗り合いで現場へ

キーワード:
  • 労働時間関係
Q

 当社の業務は事務所と異なる現場へ出向く作業が大半です。現場への移動は、事務所へ集合し社用車で向かったり、従業員同士で調整し車で直行を認めたりするなどさまざまです。どこまで労働時間と扱うか疑問が生じたのですが、基準などあるでしょうか。【三重・W社】

A

労働者間で決め不該当も 集合時刻や運転手などを

 労基法上、労働時間とは、使用者の指揮監督の下にある時間をいうとしています(労基法コンメンタール)。明示の指示だけでなく黙示の指示も含みます。

 自宅から会社への移動する際の通勤時間については、一般的には労働時間に当たらないとされています。労務の提供という労働者の債務は、使用者である債権者の求める場所で提供することを内容とする持参債務であり、通勤という行為は、労働力を使用者の下へ持参するための債務履行の準備行為に位置付けられるものであって業務性を欠いているほか、通常は自由利用が保障されているためです(佐々木宗啓等「類型別労働関係訴訟の実務」)。

 会社などに集合し社用車に乗り合いで作業現場へ向かう場合はどうでしょうか。行政解釈としては、…

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2024.09.10 【労働基準法】

拘束時間から除外可能か 予期し得ない事象へ対応

キーワード:
  • 労働時間関係
  • 改善基準告示
Q

 当社は貨物自動車運送事業です。渋滞に巻き込まれた時間などは、予期し得ない事象への対応時間として、拘束時間にカウントしなくてもよいと聞きました。具体的にはどのような場合でしょうか。また、賃金の支払い対象としなくてもよいのでしょうか。【宮城・K社】

A

事故による渋滞など該当 休憩でなければ労働時間

 自動車運転の業務では、労働時間について、労基法のほか、改善基準告示(平元・2・9労働省告示7号、改正令4・12・23厚労省告示367号)による制約も加わります。以下、トラックの場合で説明します。

 まず、始業~終業の時間(労働時間と休憩時間の合計時間)である「拘束時間」について、原則月284時間以内、年3300時間以内とする必要があります。労使協定を締結すると、…

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