『労働時間関係』の労働実務相談Q&A

2025.01.10 【労働基準法】

変形制の繁忙期を新設可能か 休日出勤で振替予定 連続労働日数が心配に

キーワード:
  • 労働時間関係
  • 変形労働時間制
Q

 当社では、4月から1年間のスパンで1年単位の変形労働時間制を採用しています。休日出勤には、これまで休日の振替えで対応してきました。ただ、変形制は連続労働日数に制限があるなど、休日振替を多用することの不安もあります。今から、特定期間を設けることは可能でしょうか。【岡山・C社】

A

対象期間中は変更不可

 1年単位の変形労働時間制には、連続労働日数の上限が定められています。原則として6日ですが、労使協定で定めた業務がとくに繁忙な期間(特定期間)については、12日となります(労基則12条の4第5項)。

 1年単位の変形制においても、休日の振替が可能です(平11・3・31基発168号)。就業規則に根拠規定を設けて、あらかじめ振り替える日を特定する必要があるのは通常の労働時間制と同じです。

 1年単位の変形制を採用したときは、休日を振り替える場合でも、…

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2024.12.26 【労働基準法】

労働時間はどう特定する 労使合意で自由に決定?

キーワード:
  • 労働時間関係
  • 変形労働時間制
Q

 変形労働時間制に関する記事(令6・11・1付2461号52頁)をみました。1カ月変形制の導入を考えていますが、各日・各週の労働時間の特定の仕方については、労使で合意があれば自由に決めることができるのでしょうか。【秋田・G社】

A

就業規則等へ基づく必要 繰上げ・繰下げも活用可能

 1カ月単位の変形労働時間制では、週法定労働時間×変形期間の暦日数÷7で計算した法定労働時間の総枠のなかで各日・各週の所定労働時間を定めます(労基法32条の2)。31日の月なら総枠は177.1時間(特例措置対象事業場除く)です。この範囲内ならば、例えばある日の所定労働時間を10時間と定めても、同日の実労働10時間までは、基本、割増賃金が発生しないことになります。なお、割増賃金が発生するのは、①1日につき、所定8時間超の定めをした日はその時間を超えた部分、8時間以内の日は8時間を超えた部分、②週につき、所定40時間超を定めた週はその時間を超えた部分、40時間以内の週は40時間を超えた部分(①でカウントした部分除く)、③変形期間全体で法定労働時間の総枠を超えた部分(①、②を除く)です。

 変形労働時間制という名称ですが、…

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2024.10.29 【労働基準法】

特定の時期どう異なる? 変形制には3種類あるが

キーワード:
  • 労使協定
  • 労働時間関係
  • 変形労働時間制
Q

 1年単位の変形労働時間制において、30日前までの労働時間の決定時に同意を得られないとどうなるでしょうか。また、他の変形制では、いつまでに決めるのがよいですか。【岡山・A社】

A

1年単位なら締結後でも 原則拒否許されない見解

 1カ月変形制(労基法32条の2)では、週平均40時間(法定労働時間)の範囲内で、各日・各週の所定労働時間を定められます。法定労働時間は、商業や接客娯楽業等で常時10人未満の労働者を使用する「特例措置対象事業場」は、44時間とできます。具体的には、変形期間の所定労働時間の合計を、法定労働時間×変形期間の暦日数÷7の範囲内とします。各日・各週の所定労働時間には上限はありません。勤務実態から毎月勤務割を作る必要がある場合は、就業規則で各直勤務の始業終業時刻や各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続きと周知方法等を定めておけば、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りるとしています(昭63・3・14基発150号)。

 1年変形制(法32条の4)でも、最終的には各日等の所定労働時間を特定しますが、…

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2024.10.25 【労働基準法】

中抜けの取扱いをどうする 追加で休憩時間に? 穴埋め命じたら残業か

キーワード:
  • 休憩
  • 労働時間関係
Q

 当社の従業員が、プライベートな理由で、休憩時間とは別にいわゆる「中抜け」をしていました。休憩時間を追加で付与したものとして処理しています。その分働いて穴埋めをするようにと伝えたところ、残業となるのか聞かれました。終業時刻を超える労働については、残業と扱うことになるのでしょうか。【群馬・E社】

A

終業時刻のみ繰下げ可

 テレワークのとき等で休憩時間以外に業務から離れる時間を、中抜け時間として規定することがあります。中抜けの全部または一部を追加の休憩時間と扱うことも可能です。

 労働時間の途中で休憩時間が増えたとしても、終業時刻が当然にずれるわけではありません。始業終業時刻は、就業規則の記載事項です(労基法89条1号)。「所定労働時間の長さと位置」を明確にするために規定が求められています(労基法コンメンタール)。終業時刻後の労働は所定外労働、すなわち残業です。始業終業時刻を変更するためには、たとえば、始業終業時刻を繰り上げまたは繰り下げる方法があります。一般的な規定では、始業終業時刻の繰上げや繰下げをセットで行い、1日の所定労働時間数を維持していることが多いでしょう。なお、…

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2024.10.11 【最低賃金法】

賃金支払日に最賃判断? 10月またぐ計算期間 月給制で時間単価算出

キーワード:
  • 割増賃金
  • 労働時間関係
  • 賃金
Q

 当社の正社員の賃金は、20日締めの当月末日払いです。10月に支払う賃金は、前月9月21日から翌10月20日までの賃金ということになります。10月に最低賃金が引き上げられましたが、その計算に関して、支払日ベースでみて、10月に支払う分は新しい最低賃金を反映したものとする必要があるのでしょうか。【京都・O社】

A

発効日から見直しが必要

 京都府の最低賃金は、令和6年10月1日から、時間額1058円へと引き上げられました(50円の引上げ)。

 月給制の例で最低賃金を上回っているかどうかを考えてみます。月給を時給に換算する方法は、月給を年間における月平均所定労働時間で除して割り出します(最賃則2条1項3号)。割増賃金の時間単価をイメージすれば分かりやすいでしょう。ものの本でも、1時間当たりの金額の計算方法は、労基法37条の割増賃金における換算方法(労基則19条)と同じ考え方であると述べたものがあります。

 計算の分子となる月給額からは、割増賃金等を除いて計算します(最賃法4条3項)。最賃則1条で、…

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