じん肺法 第1条~第6条
このページではじん肺法 第1条、 第2条、 第3条、 第4条、 第5条、 第6条 を掲載しています。
(令和2年4月1日施行)
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、じん肺に関し、適正な予防及び健康管理その他必要な措置を講ずることにより、労働者の健康の保持その他福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 じん肺 粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。
二 合併症 じん肺と合併した肺結核その他のじん肺の進展経過に応じてじん肺と密接な関係があると認められる疾病をいう。
三 粉じん作業 当該作業に従事する労働者がじん肺にかかるおそれがあると認められる作業をいう。
四 労働者 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
五 事業者 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二条第三号に規定する事業者で、粉じん作業を行う事業に係るものをいう。
2 合併症の範囲については、厚生労働省令で定める。
3 粉じん作業の範囲は、厚生労働省令で定める。
(じん肺健康診断)
第三条 この法律の規定によるじん肺健康診断は、次の方法によつて行うものとする。
一 粉じん作業についての職歴の調査及びエックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真をいう。以下同じ。)による検査
二 厚生労働省令で定める方法による胸部に関する臨床検査及び肺機能検査
三 厚生労働省令で定める方法による結核精密検査その他厚生労働省令で定める検査
2 前項第二号の検査は、同項第一号の調査及び検査の結果、じん肺の所見がないと診断された者以外の者について行う。ただし、肺機能検査については、エックス線写真に一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影(じん肺によるものに限る。次項及び次条において同じ。)があると認められる者その他厚生労働省令で定める者を除く。
3 第一項第三号の結核精密検査は同項第一号及び第二号の調査及び検査(肺機能検査を除く。)の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち肺結核にかかつており、又はかかつている疑いがあると診断された者について、同項第三号の厚生労働省令で定める検査は同項第一号及び第二号の調査及び検査の結果、じん肺の所見があると診断された者のうち肺結核以外の合併症にかかつている疑いがあると診断された者(同項第三号の厚生労働省令で定める検査を受けることが必要であると認められた者に限る。)について行う。ただし、エックス線写真に一側の肺野の三分の一を超える大きさの大陰影があると認められる者を除く。
(エックス線写真の像及びじん肺管理区分)
第四条 じん肺のエックス線写真の像は、次の表の下欄に掲げるところにより、第一型から第四型までに区分するものとする。
型 | エックス線写真の像 |
第一型 | 両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が少数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの |
第二型 | 両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの |
第三型 | 両肺野にじん肺による粒状影又は不整形陰影が極めて多数あり、かつ、大陰影がないと認められるもの |
第四型 | 大陰影があると認められるもの |
2 粉じん作業に従事する労働者及び粉じん作業に従事する労働者であつた者は、じん肺健康診断の結果に基づき、次の表の下欄に掲げるところにより、管理一から管理四までに区分して、この法律の規定により、健康管理を行うものとする。
じん肺管理区分 | じん肺健康診断の結果 | |
管理一 | じん肺の所見がないと認められるもの | |
管理二 | エックス線写真の像が第一型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの | |
管理三 | イ | エックス線写真の像が第二型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの |
ロ | エックス線写真の像が第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の三分の一以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの | |
管理四 | (1) エックス線写真の像が第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の三分の一を超えるものに限る。)と認められるもの (2) エックス線写真の像が第一型、第二型、第三型又は第四型(大陰影の大きさが一側の肺野の三分の一以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの |
(予防)
第五条 事業者及び粉じん作業に従事する労働者は、じん肺の予防に関し、労働安全衛生法及び鉱山保安法(昭和二十四年法律第七十号)の規定によるほか、粉じんの発散の防止及び抑制、保護具の使用その他について適切な措置を講ずるように努めなければならない。
(教育)
第六条 事業者は、労働安全衛生法及び鉱山保安法の規定によるほか、常時粉じん作業に従事する労働者に対してじん肺に関する予防及び健康管理のために必要な教育を行わなければならない。