労働安全衛生規則 第13条~第15条の2
このページでは労働安全衛生規則(安衛則) 第13条、 第14条、 第14条の2、 第14条の3、 第14条の4、 第15条、 第15条の2 を掲載しています。
(令和6年10月1日施行)
第一編 通則
第二章 安全衛生管理体制
第四節 産業医等
(産業医の選任等)
第十三条 法第十三条第一項の規定による産業医の選任は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 産業医を選任すべき事由が発生した日から十四日以内に選任すること。
二 次に掲げる者(イ及びロにあつては、事業場の運営について利害関係を有しない者を除く。)以外の者のうちから選任すること。
イ 事業者が法人の場合にあつては当該法人の代表者
ロ 事業者が法人でない場合にあつては事業を営む個人
ハ 事業場においてその事業の実施を統括管理する者
三 常時千人以上の労働者を使用する事業場又は次に掲げる業務に常時五百人以上の労働者を従事させる事業場にあつては、その事業場に専属の者を選任すること。
イ 多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務
ロ 多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務
ハ ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務
ニ 土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
ホ 異常気圧下における業務
ヘ さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務
ト 重量物の取扱い等重激な業務
チ ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
リ 坑内における業務
ヌ 深夜業を含む業務
ル 水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカリ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務
ヲ 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務
ワ 病原体によつて汚染のおそれが著しい業務
カ その他厚生労働大臣が定める業務
四 常時三千人をこえる労働者を使用する事業場にあつては、二人以上の産業医を選任すること。
2 第二条第二項の規定は、産業医について準用する。ただし、学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第二十三条(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号。以下この項及び第四十四条の二第一項において「認定こども園法」という。)第二十七条において準用する場合を含む。)の規定により任命し、又は委嘱された学校医で、当該学校(同条において準用する場合にあつては、認定こども園法第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園)において産業医の職務を行うこととされたものについては、この限りでない。
3 第八条の規定は、産業医について準用する。この場合において、同条中「前条第一項」とあるのは、「第十三条第一項」と読み替えるものとする。
4 事業者は、産業医が辞任したとき又は産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。
(産業医及び産業歯科医の職務等)
第十四条 法第十三条第一項の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
一 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
二 法第六十六条の八第一項、第六十六条の八の二第一項及び第六十六条の八の四第一項に規定する面接指導並びに法第六十六条の九に規定する必要な措置の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
三 法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条第三項に規定する面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
四 作業環境の維持管理に関すること。
五 作業の管理に関すること。
六 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
七 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
八 衛生教育に関すること。
九 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
2 法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。
一 法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣の指定する者(法人に限る。)が行うものを修了した者
二 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、その大学が行う実習を履修したもの
三 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
四 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者
五 前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者
3 産業医は、第一項各号に掲げる事項について、総括安全衛生管理者に対して勧告し、又は衛生管理者に対して指導し、若しくは助言することができる。
4 事業者は、産業医が法第十三条第五項の規定による勧告をしたこと又は前項の規定による勧告、指導若しくは助言をしたことを理由として、産業医に対し、解任その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
5 事業者は、令第二十二条第三項の業務に常時五十人以上の労働者を従事させる事業場については、第一項各号に掲げる事項のうち当該労働者の歯又はその支持組織に関する事項について、適時、歯科医師の意見を聴くようにしなければならない。
6 前項の事業場の労働者に対して法第六十六条第三項の健康診断を行なつた歯科医師は、当該事業場の事業者又は総括安全衛生管理者に対し、当該労働者の健康障害(歯又はその支持組織に関するものに限る。)を防止するため必要な事項を勧告することができる。
7 産業医は、労働者の健康管理等を行うために必要な医学に関する知識及び能力の維持向上に努めなければならない。
(産業医に対する情報の提供)
第十四条の二 法第十三条第四項の厚生労働省令で定める情報は、次に掲げる情報とする。
一 法第六十六条の五第一項、第六十六条の八第五項(法第六十六条の八の二第二項又は第六十六条の八の四第二項において読み替えて準用する場合を含む。)又は第六十六条の十第六項の規定により既に講じた措置又は講じようとする措置の内容に関する情報(これらの措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)
二 第五十二条の二第一項、第五十二条の七の二第一項又は第五十二条の七の四第一項の超えた時間が一月当たり八十時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報
三 前二号に掲げるもののほか、労働者の業務に関する情報であつて産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの
2 法第十三条第四項の規定による情報の提供は、次の各号に掲げる情報の区分に応じ、当該各号に定めるところにより行うものとする。
一 前項第一号に掲げる情報 法第六十六条の四、第六十六条の八第四項(法第六十六条の八の二第二項又は第六十六条の八の四第二項において準用する場合を含む。)又は第六十六条の十第五項の規定による医師又は歯科医師からの意見聴取を行つた後、遅滞なく提供すること。
二 前項第二号に掲げる情報 第五十二条の二第二項(第五十二条の七の二第二項又は第五十二条の七の四第二項において準用する場合を含む。)の規定により同号の超えた時間の算定を行つた後、速やかに提供すること。
三 前項第三号に掲げる情報 産業医から当該情報の提供を求められた後、速やかに提供すること。
(産業医による勧告等)
第十四条の三 産業医は、法第十三条第五項の勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の内容について、事業者の意見を求めるものとする。
2 事業者は、法第十三条第五項の勧告を受けたときは、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 当該勧告の内容
二 当該勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)
3 法第十三条第六項の規定による報告は、同条第五項の勧告を受けた後遅滞なく行うものとする。
4 法第十三条第六項の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 当該勧告の内容
二 当該勧告を踏まえて講じた措置又は講じようとする措置の内容(措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)
(産業医に対する権限の付与等)
第十四条の四 事業者は、産業医に対し、第十四条第一項各号に掲げる事項をなし得る権限を与えなければならない。
2 前項の権限には、第十四条第一項各号に掲げる事項に係る次に掲げる事項に関する権限が含まれるものとする。
一 事業者又は総括安全衛生管理者に対して意見を述べること。
二 第十四条第一項各号に掲げる事項を実施するために必要な情報を労働者から収集すること。
三 労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合において、労働者に対して必要な措置をとるべきことを指示すること。
(産業医の定期巡視)
第十五条 産業医は、少なくとも毎月一回(産業医が、事業者から、毎月一回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であつて、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果
二 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
(産業医を選任すべき事業場以外の事業場の労働者の健康管理等)
第十五条の二 法第十三条の二第一項の厚生労働省令で定める者は、労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する保健師とする。
2 事業者は、法第十三条第一項の事業場以外の事業場について、法第十三条の二第一項に規定する者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるに当たつては、労働者の健康管理等を行う同項に規定する医師の選任、国が法第十九条の三に規定する援助として行う労働者の健康管理等に係る業務についての相談その他の必要な援助の事業の利用等に努めるものとする。
3 第十四条の二第一項の規定は法第十三条の二第二項において準用する法第十三条第四項の厚生労働省令で定める情報について、第十四条の二第二項の規定は法第十三条の二第二項において準用する法第十三条第四項の規定による情報の提供について、それぞれ準用する。