労働安全衛生規則 第256条~第267条
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(令和6年10月1日施行)
第二編 安全基準
第四章 爆発、火災等の防止
第二節 危険物等の取扱い等
(危険物を製造する場合等の措置)
第二百五十六条 事業者は、危険物を製造し、又は取り扱うときは、爆発又は火災を防止するため、次に定めるところによらなければならない。
一 爆発性の物(令別表第一第一号に掲げる爆発性の物をいう。)については、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないこと。
二 発火性の物(令別表第一第二号に掲げる発火性の物をいう。)については、それぞれの種類に応じ、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、酸化をうながす物若しくは水に接触させ、加熱し、又は衝撃を与えないこと。
三 酸化性の物(令別表第一第三号に掲げる酸化性の物をいう。以下同じ。)については、みだりに、その分解がうながされるおそれのある物に接触させ、加熱し、摩擦し、又は衝撃を与えないこと。
四 引火性の物(令別表第一第四号に掲げる引火性の物をいう。以下同じ。)については、みだりに、火気その他点火源となるおそれのあるものに接近させ、若しくは注ぎ、蒸発させ、又は加熱しないこと。
五 危険物を製造し、又は取り扱う設備のある場所を常に整理整とんし、及びその場所に、みだりに、可燃性の物又は酸化性の物を置かないこと。
2 労働者は、前項の場合には、同項各号に定めるところによらなければならない。
(作業指揮者)
第二百五十七条 事業者は、危険物を製造し、又は取り扱う作業(令第六条第二号又は第八号に掲げる作業を除く。)を行なうときは、当該作業の指揮者を定め、その者に当該作業を指揮させるとともに、次の事項を行なわせなければならない。
一 危険物を製造し、又は取り扱う設備及び当該設備の附属設備について、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること。
二 危険物を製造し、又は取り扱う設備及び当該設備の附属設備がある場所における温度、湿度、遮光及び換気の状態等について、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること。
三 前各号に掲げるもののほか、危険物の取扱いの状況について、随時点検し、異常を認めたときは、直ちに、必要な措置をとること。
四 前各号の規定によりとつた措置について、記録しておくこと。
(ホースを用いる引火性の物等の注入)
第二百五十八条 事業者は、引火性の物又は可燃性ガス(令別表第一第五号に掲げる可燃性のガスをいう。以下同じ。)で液状のものを、ホースを用いて化学設備(配管を除く。)、タンク自動車、タンク車、ドラムかん等に注入する作業を行うときは、ホースの結合部を確実に締め付け、又ははめ合わせたことを確認した後でなければ、当該作業を行つてはならない。
2 労働者は、前項の作業に従事するときは、同項に定めるところによらなければ、当該作業を行なつてはならない。
(ガソリンが残存している設備への灯油等の注入)
第二百五十九条 事業者は、ガソリンが残存している化学設備(危険物を貯蔵するものに限るものとし、配管を除く。次条において同じ。)、タンク自動車、タンク車、ドラムかん等に灯油又は軽油を注入する作業を行うときは、あらかじめ、その内部について、洗浄し、ガソリンの蒸気を不活性ガスで置換する等により、安全な状態にしたことを確認した後でなければ、当該作業を行つてはならない。
2 労働者は、前項の作業に従事するときは、同項に定めるところによらなければ、当該作業を行なつてはならない。
(エチレンオキシド等の取扱い)
第二百六十条 事業者は、エチレンオキシド、アセトアルデヒド又は酸化プロピレンを化学設備、タンク自動車、タンク車、ドラムかん等に注入する作業を行うときは、あらかじめ、その内部の不活性ガス以外のガス又は蒸気を不活性ガスで置換した後でなければ、当該作業を行つてはならない。
2 事業者は、エチレンオキシド、アセトアルデヒド又は酸化プロピレンを化学設備、タンク自動車、タンク車、ドラムかん等に貯蔵するときは、常にその内部の不活性ガス以外のガス又は蒸気を不活性ガスで置換しておかなければならない。
(通風等による爆発又は火災の防止)
第二百六十一条 事業者は、引火性の物の蒸気、可燃性ガス又は可燃性の粉じんが存在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所については、当該蒸気、ガス又は粉じんによる爆発又は火災を防止するため、通風、換気、除じん等の措置を講じなければならない。
(通風等が不十分な場所におけるガス溶接等の作業)
第二百六十二条 事業者は、通風又は換気が不十分な場所において、可燃性ガス及び酸素(以下この条及び次条において「ガス等」という。)を用いて溶接、溶断又は金属の加熱の作業を行なうときは、当該場所におけるガス等の漏えい又は放出による爆発、火災又は火傷を防止するため、次の措置を講じなければならない。
一 ガス等のホース及び吹管については、損傷、摩耗等によるガス等の漏えいのおそれがないものを使用すること。
二 ガス等のホースと吹管及びガス等のホース相互の接続箇所については、ホースバンド、ホースクリツプ等の締付具を用いて確実に締付けを行なうこと。
三 ガス等のホースにガス等を供給しようとするときは、あらかじめ、当該ホースに、ガス等が放出しない状態にした吹管又は確実な止めせんを装着した後に行なうこと。
四 使用中のガス等のホースのガス等の供給口のバルブ又はコツクには、当該バルブ又はコツクに接続するガス等のホースを使用する者の名札を取り付ける等ガス等の供給についての誤操作を防ぐための表示をすること。
五 溶断の作業を行なうときは、吹管からの過剰酸素の放出による火傷を防止するため十分な換気を行なうこと。
六 作業の中断又は終了により作業箇所を離れるときは、ガス等の供給口のバルブ又はコツクを閉止してガス等のホースを当該ガス等の供給口から取りはずし、又はガス等のホースを自然通風若しくは自然換気が十分な場所へ移動すること。
2 労働者は、前項の作業に従事するときは、同項各号に定めるところによらなければ、当該作業を行なつてはならない。
(ガス等の容器の取扱い)
第二百六十三条 事業者は、ガス溶接等の業務(令第二十条第十号に掲げる業務をいう。以下同じ。)に使用するガス等の容器については、次に定めるところによらなければならない。
一 次の場所においては、設置し、使用し、貯蔵し、又は放置しないこと。
イ 通風又は換気の不十分な場所
ロ 火気を使用する場所及びその附近
ハ 火薬類、危険物その他の爆発性若しくは発火性の物又は多量の易燃性の物を製造し、又は取り扱う場所及びその附近
二 容器の温度を四十度以下に保つこと。
三 転倒のおそれがないように保持すること。
四 衝撃を与えないこと。
五 運搬するときは、キヤツプを施すこと。
六 使用するときは、容器の口金に付着している油類及びじんあいを除去すること。
七 バルブの開閉は、静かに行なうこと。
八 溶解アセチレンの容器は、立てて置くこと。
九 使用前又は使用中の容器とこれら以外の容器との区別を明らかにしておくこと。
(異種の物の接触による発火等の防止)
第二百六十四条 事業者は、異種の物が接触することにより発火し、又は爆発するおそれのあるときは、これらの物を接近して貯蔵し、又は同一の運搬機に積載してはならない。ただし、接触防止のための措置を講じたときは、この限りでない。
(火災のおそれのある作業の場所等)
第二百六十五条 事業者は、起毛、反毛等の作業又は綿、羊毛、ぼろ、木毛、わら、紙くずその他可燃性の物を多量に取り扱う作業を行なう場所、設備等については、火災防止のため適当な位置又は構造としなければならない。
(自然発火の防止)
第二百六十六条 事業者は、自然発火の危険がある物を積み重ねるときは、危険な温度に上昇しない措置を講じなければならない。
(油等の浸染したボロ等の処理)
第二百六十七条 事業者は、油又は印刷用インキ類によつて浸染したボロ、紙くず等については、不燃性の有がい容器に収める等火災防止のための措置を講じなければならない。