労働安全衛生規則 第576条~第592条
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(令和6年10月1日施行)
第三編 衛生基準
第一章 有害な作業環境
(有害原因の除去)
第五百七十六条 事業者は、有害物を取り扱い、ガス、蒸気又は粉じんを発散し、有害な光線又は超音波にさらされ、騒音又は振動を発し、病原体によつて汚染される等有害な作業場においては、その原因を除去するため、代替物の使用、作業の方法又は機械等の改善等必要な措置を講じなければならない。
(ガス等の発散の抑制等)
第五百七十七条 事業者は、ガス、蒸気又は粉じんを発散する屋内作業場においては、当該屋内作業場における空気中のガス、蒸気又は粉じんの含有濃度が有害な程度にならないようにするため、発散源を密閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置を設ける等必要な措置を講じなければならない。
(ばく露の程度の低減等)
第五百七十七条の二 事業者は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う事業場において、リスクアセスメントの結果等に基づき、労働者の健康障害を防止するため、代替物の使用、発散源を密閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置の設置及び稼働、作業の方法の改善、有効な呼吸用保護具を使用させること等必要な措置を講ずることにより、リスクアセスメント対象物に労働者がばく露される程度を最小限度にしなければならない。
2 事業者は、リスクアセスメント対象物のうち、一定程度のばく露に抑えることにより、労働者に健康障害を生ずるおそれがない物として厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う業務(主として一般消費者の生活の用に供される製品に係るものを除く。)を行う屋内作業場においては、当該業務に従事する労働者がこれらの物にばく露される程度を、厚生労働大臣が定める濃度の基準以下としなければならない。
3 事業者は、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者に対し、法第六十六条の規定による健康診断のほか、リスクアセスメント対象物に係るリスクアセスメントの結果に基づき、関係労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師又は歯科医師が必要と認める項目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない。
4 事業者は、第二項の業務に従事する労働者が、同項の厚生労働大臣が定める濃度の基準を超えてリスクアセスメント対象物にばく露したおそれがあるときは、速やかに、当該労働者に対し、医師又は歯科医師が必要と認める項目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない。
5 事業者は、前二項の健康診断(以下この条において「リスクアセスメント対象物健康診断」という。)を行つたときは、リスクアセスメント対象物健康診断の結果に基づき、リスクアセスメント対象物健康診断個人票(様式第二十四号の二)を作成し、これを五年間(リスクアセスメント対象物健康診断に係るリスクアセスメント対象物ががん原性がある物として厚生労働大臣が定めるもの(以下「がん原性物質」という。)である場合は、三十年間)保存しなければならない。
6 事業者は、リスクアセスメント対象物健康診断の結果(リスクアセスメント対象物健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、次に定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
一 リスクアセスメント対象物健康診断が行われた日から三月以内に行うこと。
二 聴取した医師又は歯科医師の意見をリスクアセスメント対象物健康診断個人票に記載すること。
7 事業者は、医師又は歯科医師から、前項の意見聴取を行う上で必要となる労働者の業務に関する情報を求められたときは、速やかに、これを提供しなければならない。
8 事業者は、第六項の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備、衛生委員会又は安全衛生委員会への当該医師又は歯科医師の意見の報告その他の適切な措置を講じなければならない。
9 事業者は、リスクアセスメント対象物健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、リスクアセスメント対象物健康診断の結果を通知しなければならない。
10 事業者は、第一項、第二項及び第八項の規定により講じた措置について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けなければならない。
11 事業者は、次に掲げる事項(第三号については、がん原性物質を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に限る。)について、一年を超えない期間ごとに一回、定期に、記録を作成し、当該記録を三年間(第二号(リスクアセスメント対象物ががん原性物質である場合に限る。)及び第三号については、三十年間)保存するとともに、第一号及び第四号の事項について、リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に周知させなければならない。
一 第一項、第二項及び第八項の規定により講じた措置の状況
二 リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者のリスクアセスメント対象物のばく露の状況
三 労働者の氏名、従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間並びにがん原性物質により著しく汚染される事態が生じたときはその概要及び事業者が講じた応急の措置の概要
四 前項の規定による関係労働者の意見の聴取状況
12 前項の規定による周知は、次に掲げるいずれかの方法により行うものとする。
一 当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う各作業場の見やすい場所に常時掲示し、又は備え付けること。
二 書面を、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に交付すること。
三 事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は電磁的記録媒体をもつて調製するファイルに記録し、かつ、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う各作業場に、当該リスクアセスメント対象物を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。
第五百七十七条の三 事業者は、リスクアセスメント対象物以外の化学物質を製造し、又は取り扱う事業場において、リスクアセスメント対象物以外の化学物質に係る危険性又は有害性等の調査の結果等に基づき、労働者の健康障害を防止するため、代替物の使用、発散源を密閉する設備、局所排気装置又は全体換気装置の設置及び稼働、作業の方法の改善、有効な保護具を使用させること等必要な措置を講ずることにより、労働者がリスクアセスメント対象物以外の化学物質にばく露される程度を最小限度にするよう努めなければならない。 第五百七十八条 事業者は、坑、井筒、潜函、タンク又は船倉の内部その他の場所で、自然換気が不十分なところにおいては、内燃機関を有する機械を使用してはならない。ただし、当該内燃機関の排気ガスによる健康障害を防止するため当該場所を換気するときは、この限りでない。 第五百七十九条 事業者は、有害物を含む排気を排出する局所排気装置その他の設備については、当該有害物の種類に応じて、吸収、燃焼、集じんその他の有効な方式による排気処理装置を設けなければならない。 第五百八十条 事業者は、有害物を含む排液については、当該有害物の種類に応じて、中和、沈でん、ろ過その他の有効な方式によつて処理した後に排出しなければならない。 第五百八十一条 事業者は、病原体により汚染された排気、排液又は廃棄物については、消毒、殺菌等適切な処理をした後に、排出し、又は廃棄しなければならない。 第五百八十二条 事業者は、粉じんを著しく飛散する屋外又は坑内の作業場においては、注水その他の粉じんの飛散を防止するため必要な措置を講じなければならない。 第五百八十三条 事業者は、坑内の作業場における炭酸ガス濃度を、一・五パーセント以下としなければならない。ただし、空気呼吸器、酸素呼吸器又はホースマスクを使用して、人命救助又は危害防止に関する作業をさせるときは、この限りでない。 第五百八十三条の二 事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場における業務に労働者を従事させるときは、当該屋内作業場が強烈な騒音を発する場所であることを、見やすい箇所に標識によつて明示する等の措置を講ずるものとする。 第五百八十四条 事業者は、強烈な騒音を発する屋内作業場においては、その伝ぱを防ぐため、隔壁を設ける等必要な措置を講じなければならない。 第五百八十五条 事業者は、次の場所に関係者以外の者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止するとともに、表示以外の方法により禁止したときは、当該場所が立入禁止である旨を見やすい箇所に表示しなければならない。 一 多量の高熱物体を取り扱う場所又は著しく暑熱な場所 二 多量の低温物体を取り扱う場所又は著しく寒冷な場所 三 有害な光線又は超音波にさらされる場所 四 炭酸ガス濃度が一・五パーセントを超える場所、酸素濃度が十八パーセントに満たない場所又は硫化水素濃度が百万分の十を超える場所 五 ガス、蒸気又は粉じんを発散する有害な場所 六 有害物を取り扱う場所 七 病原体による汚染のおそれの著しい場所 2 前項の規定により立入りを禁止された場所の周囲において作業に従事する者は、当該場所には、みだりに立ち入つてはならない。 第五百八十六条 事業者は、有害物若しくは病原体又はこれらによつて汚染された物を、一定の場所に集積し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。 第五百八十七条 令第二十一条第二号の厚生労働省令で定める暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場は、次のとおりとする。 一 溶鉱炉、平炉、転炉又は電気炉により鉱物又は金属を製錬し、又は精錬する業務を行なう屋内作業場 二 キユポラ、るつぼ等により鉱物、金属又はガラスを溶解する業務を行なう屋内作業場 三 焼鈍炉、均熱炉、焼入炉、加熱炉等により鉱物、金属又はガラスを加熱する業務を行なう屋内作業場 四 陶磁器、レンガ等を焼成する業務を行なう屋内作業場 五 鉱物の焙焼又は焼結の業務を行なう屋内作業場 六 加熱された金属の運搬又は圧延、鍛造、焼入、伸線等の加工の業務を行なう屋内作業場 七 溶融金属の運搬又は鋳込みの業務を行なう屋内作業場 八 溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行なう屋内作業場 九 加硫がまによりゴムを加硫する業務を行なう屋内作業場 十 熱源を用いる乾燥室により物を乾燥する業務を行なう屋内作業場 十一 多量の液体空気、ドライアイス等を取り扱う業務を行なう屋内作業場 十二 冷蔵庫、製氷庫、貯氷庫又は冷凍庫等で、労働者がその内部で作業を行なうもの 十三 多量の蒸気を使用する染色槽により染色する業務を行なう屋内作業場 十四 多量の蒸気を使用する金属又は非金属の洗浄又はめつきの業務を行なう屋内作業場 十五 紡績又は織布の業務を行なう屋内作業場で、給湿を行なうもの 十六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定める屋内作業場(内燃機関の使用禁止)
(排気の処理)
(排液の処理)
(病原体の処理)
(粉じんの飛散の防止)
(坑内の炭酸ガス濃度の基準)
(騒音を発する場所の明示等)
(騒音の伝ぱの防止)
(立入禁止等)
(表示等)
(作業環境測定を行うべき作業場)
第五百八十八条 令第二十一条第三号の厚生労働省令で定める著しい騒音を発する屋内作業場は、次のとおりとする。 一 鋲打ち機、はつり機、鋳物の型込機等圧縮空気により駆動される機械又は器具を取り扱う業務を行なう屋内作業場 二 ロール機、圧延機等による金属の圧延、伸線、ひずみ取り又は板曲げの業務(液体プレスによるひずみ取り及び板曲げ並びにダイスによる線引きの業務を除く。)を行なう屋内作業場 三 動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍛造又は成型の業務を行なう屋内作業場 四 タンブラーによる金属製品の研ま又は砂落しの業務を行なう屋内作業場 五 動力によりチエーン等を用いてドラムかんを洗浄する業務を行なう屋内作業場 六 ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務を行なう屋内作業場 七 チツパーによりチツプする業務を行なう屋内作業場 八 多筒抄紙機により紙を抄く業務を行なう屋内作業場 九 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣が定める屋内作業場
第五百八十九条 令第二十一条第四号の厚生労働省令で定める坑内の作業場は、次のとおりとする。 一 炭酸ガスが停滞し、又は停滞するおそれのある坑内の作業場 二 気温が二十八度をこえ、又はこえるおそれのある坑内の作業場 三 通気設備が設けられている坑内の作業場 第五百九十条 事業者は、第五百八十八条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。 2 事業者は、前項の規定による測定を行つたときは、その都度、次の事項を記録して、これを三年間保存しなければならない。 一 測定日時 二 測定方法 三 測定箇所 四 測定条件 五 測定結果 六 測定を実施した者の氏名 七 測定結果に基づいて改善措置を講じたときは、当該措置の概要(騒音の測定等)
第五百九十一条 事業者は、第五百八十八条に規定する著しい騒音を発する屋内作業場の施設若しくは設備を変更し、又は当該屋内作業場における作業工程若しくは作業方法を変更した場合には、遅滞なく、等価騒音レベルを測定しなければならない。 2 前条第二項の規定は、前項の規定による測定を行つた場合について準用する。 第五百九十二条 事業者は、第五百八十九条第一号の坑内の作業場について、一月以内ごとに一回、定期に、炭酸ガス濃度を測定しなければならない。 2 第五百九十条第二項の規定は、前項の規定による測定を行つた場合について準用する。(坑内の炭酸ガス濃度の測定等)